第五話
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小屋から、兵士が周囲を注意深く警戒している。
建物内部も所々で兵士が廊下を行き来している。そんな中ある部屋の中では、腹部を包帯で巻かれベッドに横たわる男と、その横でカルテを見ながら確認をとっている医師が何か話をしていた。
「弾は貫通していましたし、少しの間横になっていればなんとかなるでしょう。あなたがかけた治癒魔法も徐々に効いているようですし」
医師がそう言うと男は安心したのか軽く溜息をもらしていた。その後天井をじっと見つめると、何かを思いつめているのか悔しそうな様子を浮かべる。
すると急に部屋のドアが音をたてながら開いたかと思うと、大柄の男が姿を現した。周りの兵士とは少し違った服装をしており、どことなく上官のような雰囲気をかもしだしている。男の顔を見るなり医師は一礼し、半歩後ろに下がって道をあけ始めた。
大柄の男はクルトが寝ているベットのそばにあった椅子に腰をかけると、起き上がろうとする男に「そのままでいい」と声をかけ話を始めた。
「作戦は失敗か」
大柄の男は手にもっていた報告書を見ながらそう呟いた。横になっていた男は申し訳なさそうに「すいません」と言うが、大柄の男は別に怒っているわけでもなさそうだった。
「失敗など次の任務でかえせばいい。今は体調を整えるように。しかし報告書に書いてあったのはほんとうか」
「はい。あの少年の能力も開花しました……上条総司令官」
上条と言われた男は軽く相槌を返し溜息をつく。その様子はまるで予想外だといわんばかりだ。
すると何を思ったのか上条はポケットから小さめの無線機を取り出すと、ある人物と連絡をとりはじめた。
「上条だ……妖怪の山と永遠亭に強襲をかけろ……ほとんどの兵は永遠亭にまわせ。あと、妖怪の山にはタイプAを一名行かせろ。そうだな『西行寺 幽々子』を使え……わかった」
なにか大事そうなことを二・三回口にした後、上条は無線機を切ってポケットに入れる。その後医師に後のことを任せ静かに部屋を後にした。
しばらく廊下を歩き続けていた上条はふとポケットから手帳を取り出すと、あるページに挟んでいた写真を眺め始めた。写真にはある遊園地で撮影した二組の家族が映っており、中には若いころの上条らしき人物も映っている。
「なつかしいな……あの子が……」
上条は写真に映っていたある少年を見ながら懐かしそうに呟いた。さっきまで男としゃべっていた時のような威厳を保った顔は消え去り、やさしそうな父親のような顔をしている。
しばらく無言で写真を見ていた上条だったが、その背後からある人物が話しかけてきた。
「総司令官!」
声をかけてきたのは若い女性兵士だった。兵士とは言えど高校生くらいの容姿をしており、ここにいるのが不自然に思えるくらいだった。
上条はそんな彼女を見た瞬間、なぜか困った様
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