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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
EpilogueU魔導騎士? その称号は私のではなくbyオーディン
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あるのです」と話してくれるようになった。だったら座り直そう、そう思って頭の上に置いていた手を離したら、フィロメーラは「あ・・・!」と引いた私の手を見た。

「・・・いえ・・・何でもありません」

撫でてほしいと目が口ほどにものを言っているから、「少しは我が儘を言ってもいいのでは?」ともう一度撫でる。安心しきったように頬を緩ませたフィロメーラだったが、すぐに悲しげな表情へと変えた。

「お礼ともう1つ、お別れを言いに来ました」

「お別れ? あぁ私がベルカを去る前に――」

「いいえ。あの、信じてもらえないかもしれませんが、私の本当の名はイクスヴェリア。フィロメーラは偽名なのです。ごめんなさい。あなたを騙していました」

心底申し訳なそうにカミングアウトしてくれたイクスヴェリアに、「知っていましたよ、陛下」とこちらもカミングアウト。すると「えっ? いつからですかっ? あ、御冗談を・・・?」と混乱、私が騙しているのかと疑ってきた。

「初めてお会いした時より判っていました。変身の魔導によって貴女がイクスヴェリア陛下のお姿になっているものだと。私の魔道の1つに、魔導による変化の真贋を見極めるものがあります。ですから陛下が魔導を使って変身している事に気付きました」

「そうなのですか・・・? さすがは異界の魔導、と言ったところなのでしょうね。ですが、信じてもらうための手間が省けたのは幸いです。あまり時間が無いので」

それからイクスヴェリアは、先ほどの別れの話について語ってくれた。クラウスは言っていた。時代を超えて現れるイクスヴェリア。その真実を、本人から教わった。表世界に出ていない時、彼女は眠りについている。起きた時にはマリアージュを生み出しては戦場に送ると。それが兵器である自分の存在意義なんだと。そしてイクスヴェリアの活動時間は短いとも。

「私が起きていられる時間は、おそらくあと数日ほどになると思います。一たび眠れば、次に起きるのは何年先か判りません。ですから永遠の別れとなる前に、あなたにお礼とお別れを告げておきたかったのです。改めて、ありがとうございました。そしてさようなら。どうかあなたの戦いが、あなたの望む形で終わるよう祈っています」

イクスヴェリアは、自分の頭の上に乗っている私の手を大事そうに両手で取って包み込み、そっと額に当てた。少しの間、その体勢のまま互いに無言。私の手を離し、「ありがとうございました」と踵を返したイクスヴェリア。
見た目は本当に幼い少女だと言うのに、その小さく細い肩に課せられたのはあまりにも重い責務。スバルと出逢う前に、少しでも軽くしておきたい。だが今の私には何も出来ない。出来る事と言えば、

「イクスヴェリア陛下。おやすみなさい。またお逢いしましょう」

「え? あ・・・・は
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