第三話
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つの選択肢から一つ選んでもらう」
うっすらと笑みを浮かべたクルトは、一本指をたてた後残酷な選択肢を口にした。
「私と一緒に来て革命軍として戦うか、私にはむかいこのまま死ぬか」
「なっ!?」
俊司は脳内のどこかで思考が切れる音が小さく聞こえたきがしていた。
要するに死を選ぶか裏切りを選ぶかということだ。裏切れば彼らと一緒に幻想郷を侵略することになり、助けを求めてきた紫の気持ちを踏みにじることになる。しかしかといって従わないならば、今こちらに向いている銃口から鉛玉が飛び出すのは目に見えていた。
どちらもバッドエンドしか見えていない状況が、俊司の脳内を白色に染めていく。そんな彼に追い打ちをかけるように、クルトは静かにカウントダウンを始めた。
「もちろんじっくり考えてもらってもいいですよ?ただし……彼女がもつまで」
「なっ!」
「はいスタート」
クルトの合図とともに、触手達が紫を巻き込んだまま木を締め付け始める。木の表面がへこみ始める音と彼女の叫び声だけが、静かに響き始めた。
「あ……うああぁぁぁ!!」
紫の叫び声が俊司の思考をさらに遅らせていく。妖怪の紫ならすぐに力尽きることはないだろうが、かといって時間をかけすぎてしまえば彼女が死んでしまう可能性もなくはない。
能力を使えば紫はあの触手から脱出できるはずだが、紫はなぜか能力を使うそぶりをみせない。激痛のせいでそれをする暇がないのか、あるいは彼がなにかしらの策をたてて能力を封じているかだが、どちらにしろやばい状況にかわりはなかった。
「紫さん!……てめぇ」
憎しみに満ちた顔でクルトを睨みつける俊司。そんな表情をされてもクルトは澄まし顔で俊司を見ていた。
(このままじゃ紫さんが……でも、どうしたら……)
俊司の顔には焦りの色と冷や汗が尋常じゃないほど浮出ていた。それを見ながら目の前の人間はとても楽しそうにしている。
「質問してもいいよ?彼女が生きてたらだけど」
救済処置のためかただなめられているのかわかりはしないが、この状況になってそんなことを言い始めるクルト。今の俊司にとって質問を考えてられる思考など、ほとんどないに等しかった。
「くっ……なんで俺があんたみたいな魔法使いについてかないといけないんだ!」
俊司は無意識にそう叫んでいた。それを聞いたクルトはなぜかわからないが、キョトンとした顔で彼を見ている。
俊司の質問には別におかしい点なんて見受けられなかったはずだ。だがかれが反応したのはおかしい点なんかではなく、一つの単語のことだった。
「魔法使い……ぶっ……アハハ!! アハハハッ!!」
数秒間無言の間が続いた後、なぜかクルトは我慢できなくなったかのように笑い始めた。
設置魔法を使う魔法使い。誰が聞いても間違っているようには思えないはずだ
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