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東方守勢録
第三話
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ンドガンに手をかけて打開策を練ろうとするが、自身も攻撃を避け続けているのでそれどころではない。それにハンドガンごときで何とかできる状態でもなかった。
「う……あ……」
 どうしようもない状況を目の前にして思わず声を漏らす紫。触手たちはまるで大きな化け物が相手を丸のみにしようとするかのように大きく展開すると、彼女を一気に飲み込もうとする。
「やめ……きゃあああぁぁ」
 叫び声と共に紫の体は触手に飲み込まれていった。
 触手は紫を飲み込んだまま地面を這うと、近くにあった木にまとわりついて行く。やがて半球型の状態になったところで落ち着くと、そのままピタリとも動かなくなった。
「そんな……紫さんが……」
 俊司は唖然としたまま無意識にそう呟いていた。
 幻想郷の実力者であるはずの八雲紫が、いきなり現れた魔道士に封じ込まれてしまったのだ。とこからともなく現れる触手と、自由自在に作り上げ好きなところに設置できる魔方陣。それにかなり高い知恵と臨機応変に対応できる頭脳がもたらしたが、今俊司の目の中に映り込んでいる。
 これからこんな敵と戦うことになるのだろうか。そう考えると無意識に手が震え始めていた。そんな彼を見たクルトは、また不敵な笑みを浮かべて俊司に話しかけてきた。
「絶望とはこのことだろうな……さてと、うるさい人は動かなくなったし本題に入るとしようか」
「本題……?」
「ああそうさ。だが、そのまえに」
 クルトはその場で指をパチンと鳴らす。すると木にまとわりついていた触手のほとんどが消え去り、なかからぐったりとしたままの紫の姿が見え始めた。やがて最低限紫を縛り付けるのに必要な触手以外はすべて消え去り、あたりにはまた静寂な空間が生まれて言った。
「く……あ……」
「紫さん!」
 うっすらと目を開けた紫はよわよわしい視線を俊司に向ける。その目は明らかに逃げろと俊司に訴えかけてきていた。
 俊司は紫の意図を理解したものの、体が金縛りにあったかのように言うことを聞かない。今逃げれば彼女はどうなるだろうか。それより逃げたところで自分は助かるのかさえ定かではない。勝ち目のない状況が彼の思考をどんどんと焦がしていった。
「大丈夫大丈夫!彼女は殺したりはしませんよ……まあ、あなたしだいですが」
「はやく……本題を言え」
 恐怖に怯えながらも俊司は残った勇気を振り絞り、可能な限りクルトを睨み続ける。だがクルトは怯むどころか軽く笑いながら話を続けた。
「おお、殺気にあふれてますねぇ……では遠慮なく」
 そう言うとクルトは腰にぶら下げていたホルスターからハンドガンを抜き取り、俊司の顔面に向けてゆっくりと銃口を向けた。それを見た瞬間、俊司は死の恐怖に心を奪われ何も考えられなくなり、全身から冷や汗がだらだらと垂れ始める。
「なにを……」
「君に二
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