第三話
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だがよく見てみると少年は最小限の動きしかしていなかった。大きく行動するときはよけるべき触手をきちんと見極め、それ以外の時は手足や腕などを少し動かしてギリギリ当たらないラインを通していた。
(あぶねぇ……なんかここでやっと普段の練習が生きてきてる気がする……)
普段からいろんなスポーツを行っていたことでこんな時に感謝するなんて彼も思っていなかっただろう。俊司は震える手を無理やり押えながら、必死に飛んでくる触手をよけ続けた。
予想外に近い状況を見て、クルトは何もしゃべろうとはしていなかった。さすがにただの外来人にあそこまでされると、言葉を失ってしまうのは仕方ない。しかし、彼の口元はなぜか少しずつにやけ始めていた。
「さすがはスポーツ万能・成績優秀の高校生だ! 実に予想外過ぎて面白い……」
クルトは高らかに笑いながらそう言った。彼にとっては予想外とかの話より面白い事にすぎないのだろうか。
「ちっ……だからなんだ!」
俊司は触手をよけながら彼の方を見る。しかし彼の顔を見た瞬間、俊司はなぜか危機感を覚えた。
彼は不気味な笑みを浮かべたままこっちを見ている。だがその笑みは面白さによるものではないと、根拠はないがそう感じられた。まるで想定外の状況を想定内だったと言わんばかりに。
「でも君は大丈夫でも、彼女は……どうかな?」
「!?」
俊司は紫の方に視線を向ける。目の前の攻撃にいっぱいいっぱいになった紫は、かろうじて触手の攻撃を防いでいた。しかし、そんな彼女の足元から数本の触手が地面を這うようにして接近していた。
「だめだ!紫さん足元!!」
「えっ……!?」
俊司の忠告とほぼ同時に一本の触手が紫の右手をつかんだ。
「しまっ……きゃあ!?」
触手は紫の体を宙に浮かすとものすごい勢いで放り投げる。そのまま紫の体は木の幹に叩きつけられ、激痛によって動けなくなってしまった。もし生身の人間だったなら骨折は免れなかっただろう。
「いっ……た……」
「攻撃は一回だけでは終わりませんよ?紫さん?」
クルトは楽しそうな顔をしたまま右手を紫に向けると、すべての触手を紫めがけてのばし始める。紫はすぐさま立ち上がると背後にスキマを展開し、触手を避けようと中へ逃げ込もうとしていた。
だがクルトがスキマのことを忘れているわけがなかった。
「ははっ、させるわけがないでしょう?」
「なっ……!?」
どれだけ動いても体が言うことを聞かない。何か違和感を感じ取った紫は、おそるおそる自分の右手へ視線を向ける。
そこには絡みついた触手の姿があった。
「は……離して!」
なんとか振りほどこうとするが、何度やってもびくともしない。紫は能力を使用して無理やり触手を切り落とすが、触手は瞬く間に再生を行い紫の動きを封じていく。
俊司はハ
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