邪龍復活
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今のグレムリンは、それに匹敵する脅威だと、ウィザードは確信した。
「荒魂を、こんな道具みたいに……!」
可奈美はヤマタノオロチの首に着地し、走りながら叫ぶ。
「こんなの、絶対に許せない!」
「何で? 君たち刀使だって、荒魂を退治しているじゃないか。それに、あのダサい武装だって荒魂を使っているんだろう? 結局は同じだと思うけど?」
「あなたは……荒魂のことを、何も分かってない!」
可奈美は叫び、全身に赤い写シを宿らせる。
白い写シの変化に応じ、可奈美の御刀、千鳥の刀身が赤く伸びる。
「太阿之剣!」
可奈美の主力技が、グレムリンへ振り下ろされた。周囲に熱気をまき散らしながら、それは赤く染まったグレムリンに命中。
だが。
「何も分かっていない? それは君の方じゃない?」
だが、可奈美の剣を肩に受けたグレムリンには、ほとんどダメージはない。むしろ可奈美の千鳥、その刃の部分を掴み、顔を近づける。
「漏出問題だとか政治的利用とか、人間の都合でずっと振り回されている怪異。ほんっと哀れだよねえ?」
「……そういうのが……っ!」
可奈美は唇を噛みしめる。
果たして、彼女の脳裏には何が走っているのだろうか。
「そういうのが、何も分かってないって言ってるの!」
可奈美はその身を回転させる。
忍び寄って来ていた蛇たちの口を切り裂き、さらに大きく飛び退いた可奈美は着地。左右より迫ってくる蛇の頭部を避け、距離を置いた。
「迅位!」
そして、可奈美の体はより高位の時間流へと移行する。
ウィザードの目が追えない動き。これまでグレムリンは対応していたが、ヤマタノオロチの力を得たことで、俊敏性に関する能力を失っているようだった。
だが、それはあくまでグレムリン本人の話。
「なるほど……君たちには感知できるようだね」
グレムリンが評する通り、八体の蛇はそれぞれ可奈美の動きに合わせて鎌首をもたげていた。
そのうち一体が、虚空へ口を開く。
すると、その口内より、怒涛の水が流れ出す。それは飛び込んだ可奈美を捕え、一気に地表へ押し流していく。
「うっ……!」
ウィザードの隣に着地した可奈美は、千鳥を構えなおした。
「ハルトさん、さっきのあの時計……」
「あれはどう見ても、以前我妻由乃が俺からウィザードの力を奪った物と同じものだ。……なんでお前がそれを持ってるんだ……? 参加者でもないお前が……!」
「もらったんだよ。君の予想通り、聖杯戦争の監督役から」
「……! キュゥべえか……!」
「いや。モノクマだよ」
グレムリンは肩を震わせた。
「彼、結構面白いものを見たがっているみたいだからね。僕がちょっと協力してあげる
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