第3部
サマンオサ
死を操るもの
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ンの灯を使ったのは正解だよ。あの魔物は火に弱い。それにゾンビマスターの方も、あの炎が目の前にあるおかげで魔物を呼び出すことも出来ないから隙だらけだ」
彼の言うとおり、私たちが陸に上がる間も魔物はその場にじっと動かないでいる。魔物を呼びたくても呼べないのか、それとも様子を窺っているのかわからないが、私たちにとってはチャンスだ。
「ミオ。炎の脇を抜けて、挟み撃ちにしてあいつを倒そう」
「わかった!!」
即答すると、私とルークは同時にその場からダッシュした。その動きに気づいてゾンビマスターが杖を構えるが、星降る腕輪の力を発揮した私のスピードの前では、自身の杖が真っ二つに折られたことにすら気づかなかったようだ。
一瞬の間を置いて状況を把握した魔物は、慌てて私から一歩退く。しかし、後方に気が回らなかったのか、次の瞬間ルークが放った回し蹴りをまともに食らい、地面に倒れ伏した。
「ゾンビさえ呼び出さなきゃ、ものすごく弱い魔物なんだよね。こいつ」
ピクリとも動かない魔物を見下ろしながら、ルークが事も無げに言った。すごく弱いと言いつつ、彼の一撃は思わず目を留めてしまうほど完璧な動きだった。
「ごめん。ルークのランタン、あの腐った死体たちに向けて投げちゃって」
私が謝ると、ルークは申し訳なさそうに首を振った。
「いや、むしろよくギリギリまで耐えたよ。ミオが頑張ってくれたから、僕は戻ってこれた。それに、目的のものも無事に手に入ることが出来たよ」
見ると彼の手には、しっかりと鏡のようなものを抱えていた。
金で縁取られたその鏡は意外にも小ぶりで、人の頭ほどの大きさをしていた。鏡面は今しがた磨かれたかのように艶やかであり、覗き込んだ私たちの顔を鮮明に映し出していた。
「やっぱり、これってラーの鏡、だよね」
「……多分ね。でなければ、魔物が見張ってるわけないもの」
ただの鏡なら、わざわざ魔物が私たちに襲いかかることはしないはずだ。けれど、もしラーの鏡だとしても、なぜ魔物が待ち構えていたのか。
色々と疑問は残るが、取り敢えず目標は達成できたのだ。私は複雑な顔をしながらもルークから鏡を受け取った。
「ありがとう、ルーク。ルークがいなかったら、きっとラーの鏡を手に入れることは出来なかったよ」
私は笑顔でルークにお礼を伝えた。彼がいなければ、ここまで到達することすら出来なかっただろう。
「僕も頑張った甲斐があったよ。これで君の仲間を救うことができるんだね」
「うん!! 本当にありがとう。ルークと会ってから助けられてばかりだよ」
「そうかな? 逆に僕の方がミオに助けられてばかりだけど」
「え? なんで? 私なにもしてないけど?」
ルークの言葉に全く心当たりがなく、首をかしげる。
「君と一緒に冒険したり、魔物を倒したりしたことだよ
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