第二話
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彼女は幻想郷を助けてほしいと言っていたはずだ。よく考えれば彼女以外にも強力な妖怪なんてこの世界には山ほど存在している。それに異変解決等を行っている巫女や魔法使いなど、人間でもそれ相応の実力を持ったものがいるはずだ。そう簡単にこの世界が危機に陥ることはない。
なにかあったのは間違いないと俊司は感じていたが、なにも声をかけることができず戸惑うしかなかった。
「とにかく!……あなたの協力が必要なの……お願い……」
紫の表情は真剣そのものだった。幻想郷を……いや、ここに住む人たちを助けたい。そういう思いが込められていた。
俊司はあまり厄介ごとには首を突っ込みたくない性格だ。子供のころからこういった厄介事には、かかわる前に一度躊躇してしまう。今回もいろいろと厄介なのは目に見えていた。
しかしそれ以上に彼の正義感は強かった。そんな彼が目の前で助けを求められているのに、その人を見捨てることなどできるわけがない。答えはすでに決まっていた。
「わかり……ました……」
「そう……ありがと」
一度安堵のため息を漏らした紫だったが、どこか寂しそうな表情で笑顔を返していた。
正直心の整理が収まっているわけではないが、言ってしまった以上はやり切るべきだろう。俊司は自分にそう言い聞かせ、無理やり脳内を整理させた。
「じゃあ、あなたにこれを」
そう言って紫はスキマを開くと、中から外来人が使っている武器と、幻想郷の住人が使うような五枚の白紙のカードを俊司に手渡した。
手渡された武器は軍人が使っているハンドガンそのものだった。実際に外の世界にも存在していて幻想入りしたわけでもない。サバゲーをしたことがある俊司には、この銃が『M9』というすごくメジャーなハンドガンに似ていることもわかった。もしこれが本物ならば、なおさら幻想入りしているわけでもない。なぜ彼女がそんな物を持っているのだろうか。
「これってハンドガン……ですよね?」
恐る恐る聞き返してみる。外の世界の事を知ってる紫なら、ハンドガンと言っただけでなにかわかるだろう。
「ええ。偶然拾い上げたものを河童が改造したものよ。あの子の……置き土産みたいなものよ」
「置き……土産?」
紫はそれ以降視線をそらして何もしゃべろうとはしなかった。
河童というのは『河城 にとり』のことだと俊司は判断していた。言動からして彼女に何かあったというのは間違いなさそうだ。
これ以上聞くのもさすがにつらい。俊司は「すいません」と言い話の流れを切ろうとする。紫もさすがに申し訳ないと思ったのか、「ごめんなさいね」と言って無理やり笑顔を作り出していた。
「じゃあもう一つ。そのカードはスペルカードの基よ。今はそれしかないから大事に使って頂戴」
スペルカードと言うのはこの世界の住人が使う特殊なカードの事だ。中に
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