第一章
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メシヤと飯屋
スペインバスセロナ出身のフランシスコ=コンデロは非常に真面目でかつ公平で寛容な人物である。黒髪で彫のある顔に黒い目と引き締まった長身を持つ神父で今は日本の大学で神学を教えている。
その彼がだ、日本に来てから知り合った勤務している大学の宗教学部の教授西田円応温厚な顔立ちの白髪の太った老人である彼に言った。
「色々な宗教がある国ですね」
「それが日本です」
西田はコンデロに微笑んで話した。
「私は仏教を学んでいますが」
「お寺の住職でもあられるので」
「はい、その仏教もあり」
「仏教の色々な宗派もあって」
「そして神道もあり」
この宗教もというのだ。
「新興宗教も多く」
「天理教や金光教ですね」
「そしてキリスト教もあります」
「そうですね、様々な宗教が共存している国ですね」
コンデロは目を輝かせて応えた。
「聞いていましたが実際にこの目で見ますと」
「そうするとですね」
「驚きました、様々な宗教が共存共栄している」
「素晴らしいことですね」
「全く以て」
実にというのだ。
「素晴らしいことです」
「左様ですね」
「はい、まことに」
こうしたことを言うのだった、そしてだった。
コンデロは学生達にキリスト教、カトリックの教義や考えを教えるだけでなく自分も日本の宗教それに文化等も学んでいった。
その中でだ、ある日西田と共にだ。
大学の外に出て昼食を食べに行った、そこで西田に言った。
「日本の洋食ですが」
「お気に召されたそうで」
「はい、これがです」
真顔で言うのだった。
「最高です。カレーライスも海老フライもです」
「お好きですか」
「ナポリタンもハンバーグも」
こうしたものもというのだ。
「大好きです、そして和食もです」
「そちらもですか」
「勿論です、特に定食は」
「いいですか」
「実にバランスよくです」
西田に目を輝かせて話した。
「味も栄養もです」
「整えられていてですか」
「最高です」
「それではです」
そう聞いてだ、西田はコンデロのその言葉を受けて言った。
「今日のお昼はです」
「定食ですか」
「そちらにしますか」
「そうですか、それでは」
コンデロもそれではと頷いた、そうしてだった。
二人で定食屋に行こうとした、その道中二人は今度は宗教の話をした。キリスト教の教義について神父と僧侶即ちキリスト教の者と仏教の者の間でだ。
それぞれの見方を話してそれを学問としていった、話自体は理知的で学問的であった。だがその中で。
擦れ違ったサラリーマンと思われる初老の男性達がこんな話をしているのを聞いた。
「今日は何処で食う?」
「牛丼屋は昨日行ったしな」
「じゃあ今
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