第11話 集いし力
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居た父に近づく。
そっと触れるとまだ熱はあり脈もあった。
どうやら気絶しているだけのようだ。
にしても変だ。
父士郎は名の知れた剣術家だ。
家には道場もあり門下生が門を叩く程の腕前を持っている。
そんな父をこんなにも容易く倒せる相手など居るのだろうか?
そんな事を考えていた時、目の前で父や母、そして姉の三人がゆっくりと起き上がったのだ。
良かった、無事だったんだ。
そう思い三人の顔を見た途端、なのはは凍りついた。
其処に居たのは鋭い牙を生やし邪悪な目つきをした3人が居たのだ。
そして、ゆっくりとなのはに向かい手を伸ばしてきた。
「い……いやぁぁ!」
恐怖に駆られたなのはがすぐに従業員室を出た。
だが、店の中はもっと大変な事になっていた。
先ほどまで倒れていた客の殆どが起き上がっていたのだ。
それも、同じように口から鋭い牙を生やし邪悪な目つきでこちらに向かい手を伸ばしている。
カウンターテーブルを挟んでなのはは取り囲まれてしまった。
恐怖で顔が青ざめる。
鋭い牙を突き出してなのはに向かい手を一斉に伸ばしてくる。
声など挙げられなかった。
恐怖で喉が潰れてしまったのだ。
目からは涙が滲み出てきた。
足が震えて逃げる事すら出来ない。
そんななのはに向かい邪悪な手が押し寄せてきた。
「なのは、こっちだ!」
「お兄ちゃん!」
その時、裏口から兄の恭也がやってきた。
彼はなんともなかったようだ。
客を何人か突き飛ばしなのはを抱えて店の外に出た。
外の空気を吸ってどうにか気を落ち着かせるなのは。
「大丈夫か? なのは」
「うん、お兄ちゃん、お兄ちゃんは大丈夫だったの?」
「あぁ、偶々食材運びをしていたからな」
どうやら恭也は無事のようだ。
それを聞いて安堵したなのは。
「それにしても、皆どうしちゃったんだろう? まるで蝙蝠みたいな牙を生やしてたよ」
「俺にも分からない。何せ見たらなのはが襲われそうになってたしな」
「うん、でもお父さん達はこれからどうなるんだろう? それにお客さん達だってあのままじゃ…」
「なぁに、心配ないさ、なのは」
突如、恭也の口調が変わった。
それだけじゃない。
自分を抱き抱えている腕に力が篭る。
それもかなりの力だ。
幼いなのはでは引き剥がす事など出来ない。
「痛い、痛いよお兄ちゃん。離して……」
見上げたなのはの目に映ったのは同じように牙を生やした恭也であった。
「何故ならお前も俺たちの仲間になるんだからなぁ!」
そう言って鋭く尖った牙をなのはの首筋目掛けて突き刺そうとした。
「よせ、恭也!」
だが、背後からの当身を食らい恭也は倒れた。
その際になのはの拘束も解けて自由になれた。
「大
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