八十六 元祖・猪鹿蝶
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片手に、片膝立てて座り込むナルトが双眸を閉ざしている姿が垣間見えた。
「ナルトくん、少しでも眠れたら良いんですが…」
ナルトに休息をとってもらえるのが嬉しいのか、先ほどとは打って変わって機嫌が良い白とは対照的に、再不斬は不機嫌そうに鼻を鳴らす。
「…アイツが満足に眠れた姿なんざ今まで見たことがねェよ」
かつて一尾の人柱力は、我が身に封印された一尾の脅威から、眠れることができず、目の下に濃い隈があった。
今は随分マシになったと風の噂で聞くが、ナルトは違う。
子どもの頃の我愛羅の比ではない。幻術で常に隠しているだけで身体はとうに限界を迎えている。
辛うじて瀬戸際で正気の糸にしがみついているだけの哀れな子どもだ。
それでもボロボロの身体を駆使して生き永らえているのはひとえに、“夢”を叶える為だ。
再不斬にとっては賭けでもあるソレは、人にとっては当たり前の、ささやかな、なんでもない夢。
「…ナルトくんは僕の神様ですから。こうして休息をつくる機会があるなら僕はなんだってします」
不機嫌そうに押し黙っている再不斬の隣で、暇を持て余した白がなんでもないように告げる。
冗談のようだが本心からの言葉に、再不斬はつい口を挟んだ。
「その呼び方、アイツの前ではやめとけよ」
相棒のよしみで、ナルトを神様と呼ぶ白に一言、指摘する。
ナルトと一番古い付き合いの再不斬は、どうせ眠っておらずこの会話も聞かれていると重々承知で、忠告してやった。
「アイツは『神サマ』とやらが大嫌いだからな」
──みつけた。
チャクラの逆探知。
ペイン天道を倒し、彼が受信していた黒の杭を使って本体の居場所を特定した波風ナルは、休む暇もなく、木から木へと飛び移っていた。
「──ナルっ」
やがて後方の木々から自分を呼ぶ声がして、振り返る。
奈良シカク・山中いのいち・秋道チョウザの三人が、呼び止めたナルの無事な姿を見て、ほっと胸を撫で下ろした。
「…おっちゃん達…」
シカマルの父であるシカク、いのの父であるいのいち、そしてチョウジの父であるチョウザ。
幼馴染の父親が勢揃いしているのを見て、ナルは疲労が滲んだ笑顔を微かに浮かべた。
「無事だったんだってばね…よかった…」
酷く疲れた顔をしているのに、先に自分達三人の無事を喜ぶナルに、一瞬、いのいちは言葉に詰まったが、すぐに気を取り直して詰問した。
「おまえがここにいるってことは、六人目のペインに勝ったってことか!?」
しかしいのいちの問いを、ナルは無言で返した。
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