八十六 元祖・猪鹿蝶
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「…てめえ、急に自分の腹をかっ捌くのやめろ」
腕組みをしながら、傍らの柱に背を向けていた再不斬が呆れ顔で苦言を呈する。
「白を心配させるんじゃねぇ」とナルトの頭を軽く叩いた再不斬に、白が悲鳴染みた声で「再不斬さん…っ」と逆に叱った。
「ナルトくんは重傷なんですよ…!まだ傷口が…」
「へいへい。おいナルト。早く白を黙らせろ」
再不斬に促され、ナルトはようやく顔につけていた死神のお面を取っ払うと、己の腹に手を翳す。
しゅうしゅう…と医療忍術で切り裂いた腹の傷口を治療すると同時に、凍っていた箇所が溶けてゆく。
治癒するにつれ溶けた氷が熱を伴い、蒸気を立ち上らせた。
やがて白の氷遁の術が解けると共に、ナルトの腹部の傷口もすっかり消えて無くなる。
止血してくれていた白に礼を述べるナルトを見ながら、再不斬は呆れ顔を浮かべた。
「おまえ、いきなり自らの腹をかっ捌くとか正気の沙汰じゃねェぞ」
「そうだな。狂ってしまえば楽だったろうな」
なんでもないように平然と苦笑するナルトの心からの言葉に、「…そういう意味じゃねェよ」と再不斬は肩を竦めた。
「だいたい、おまえ、しばらく木ノ葉の里に近づかないんじゃなかったのか」
以前、ナルトはあの場所に近づきすぎたことで身体に不調をきたした。
五代目火影である綱手に前以て『暁』がくると忠告した際、南賀ノ川の下流に建っている、あの神社に。
普段人を頼らないナルトが再不斬に助けを求めたことからも、かなり切迫した状態だった。
だから、迎えに来た再不斬がナルトの顔色を見て、しばらくは木ノ葉に近寄らずに既に話を通しておいた新生“暁”メンバーに一任するよう判断したのだ。
にもかかわらず、またしても木ノ葉の里に程近いこの場所で無茶をするナルトに、再不斬が文句のひとつでも言いたくなるのは仕方のないことであった。
「第一、ペイン六道とやらは人柱…」
「…………」
ギロリ、とナルトに視線で黙らされて、再不斬は口を噤む。
ナルトの嫌いな『人柱力』という呼び方をつい言いそうになった彼はお手上げといった風情で両手をあげた。
「ま、そいつらが鎮圧したんだろ。おまえの出る幕はもう無いと思っていたんだがな」
「……そうしたいのは山々だったんだけどね」
気を取り直して言葉を続ける再不斬の言い分はわかる。
だがナルトは望まぬ再会をしなければならなかった。
波風ナルの九尾化が進んだ時にだけ彼女の意識下に現れる存在──四代目火影。
彼が封印する九尾の片割れを手に入れる為に。
だが肝心の九尾の陰チャクラは、自らを【屍鬼封尽】で死神の腹のうちに封じた四代目火影の中だ。
故に死神の腹を裂き、【屍鬼封尽】の封印を解く
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