青空の下での奇襲
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いで、遅いと対比しているだけである。
自分からしたら、自分の全能力は減衰されているとは知覚できない。
だが、それがどうした。
「武神の力ならやってやれない事はない……!」
投げた先はナイトが狙った場所。
つまりは艦橋である。
状況は変わったが、目的は変わっていないのである。
今でも、艦橋を傷つければ、目的は達成できるのである。
ナイトに関しても、失敗したという訳ではない。状況に、能力が合わなかっただけなのである。
故に自分だ。
武神使いの自分はナイトやナルゼみたいに術を使っての攻撃は出来ないし、点蔵みたいに器用さはない。
どちらかと言うと、自分の戦い方は馬鹿副長と同じである。
つまり、力づく。
単純故に裏切らないそれが、耐爆硝子を破壊するだろうと疑わなかった。
しかし、何も救いという概念は自分達だけにあるものではないのである。
突然、隆包の背後の艦橋が割れた。
そこから、押し上げられるかのように大型カタパルトが上ってくる。
この状況で、自分に対して来る相手で、大型カタパルトに乗る存在なぞ一つしかない。
「───武神か!」
それは、地摺朱雀と同じ女性型であり、しかし、朱雀とは違い白い武神であった。
特徴的なのは、その両肩が異様に肥大化している事。
その両肩に長寿族と思わしき、女がその両足を埋めるかのように立っている。
否、あれは埋めているのではなく、両足がそもそもがないのだと考え直す。
霊体の証拠である。
それに武神。
それならば、三征西班牙で該当するのは一人しか知らない。
三征西班牙総長連合所属、第二特務、江良・房栄とその武神の道征き白虎かい……!?
最悪の展開である。
こちらはただでさえ、ありとあらゆる力が減衰されているのである。
それなのに、総長連合所属の武神とやりあうなんて洒落にもなっていない。
それに、こちらはただでさえ暫定支配を受けている極東。
武器はおろか、術式、そして武神ですらその抑制は響いている。
出力では負けていると思ってかかった方がいい。
本来ならば、せめて、聖譜顕装から離れて戦う方が賢明であるというのは解っているのだが
ここを任せられているんだよ……!
武神を相手にするには生半可の実力では不可能である。
やるならば、最低限、人海戦術を用いるか、もしくは英雄クラスの実力者を当てるか、武神をぶつけるかの三択である。
無論、余程良い作戦を使えば、武神を突破する事も出来るかもしれないが、この場では、そんなのはナンセンスだと思えたし、自分の頭はそういう風な思考は向かないと理解している。
ただ、だからこそ、自分はここでは引けないのである。
どの戦術も残念ながら、人も術式も能力も足りていない。
自惚れ判断なしに、この場では自分しかいない。
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