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不可能男との約束
青空の下での奇襲
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使う棒は百円棒五本。
二万五千円分の価値を持った棒金を

「Herrlich!」

艦橋部に目がけて発射した。
当たると、自然に思えた。

「おい、隆包。お前のだけで十分じゃないか?」

「そう言って、物臭すんなよべラのおっさん。ちゃんとしなきゃ、俺が房栄に怒られる」

二つの声が、何故か響き渡った。
そして、放たれた棒金は、威を発すどころか、コン、と小さい音を響かせるだけであった。

……え?

何が起きたのか理解できなかった、マルゴットの意志は自然とさっき聞こえた声の方に傾いた。
目線の先は艦橋の上。
無精髭が生えた痩躯の長寿族と思われる男。

「───三征西班牙生徒会書記、ベラスケス!?」

しかし、それだけではない。
声はもう一つ聞こえたのである。
もう一人は甲板の上に立っているバットらしき武装を持って、しかし、足が透けている霊体の男。

「三征西班牙総長連合副長、弘中隆包……」

最悪の組み合わせである。
自分は第五特務ではあるが、相手は自分よりも上の役職な上に、二人である。
流石に、自分一人で役職者二人を相手に出来るとは思えないし、思わない。
そんな無茶は、それこそ副長クラスの仕事である。
あのヤンキーなら、逆に喜んで、この死地を迎えただろう。ヒャッハーっと叫んでいる馬鹿の姿を一瞬で脳裏に浮かべてしまい、危うく飛行術式の制御を怠る所だった。
とりあえず───今は引くべきだと即座に反転しようとする。
バラやんには悪いけど、この場で自分一人で戦って、勝てるどころか足止め出来るとは思ってもいない。
だが、そこを見破られたか

「おいおい墜天の嬢ちゃん。せっかく、来たんだから、俺達の力を見て行けよ」

「俺達の力じゃなくて、これの力だろうが隆包」

その言葉が指し示すものを見た瞬間、マルゴットは息を呑んだ。
流体光を発する羽のような大剣。
それは

聖譜顕装(テスタメンタ・アルマ)!?」

「おうよ。その聖譜顕装の一つの身堅き節制(クルース・テンペランティア)旧代(ノウム)新代(ウェトゥス)よ」

何て無茶を……! と本気で思う。
聖譜顕装の力は確かに凄い。
しかし、それは大罪武装とは違い、自国でしか使えないという弱点がある。
何事も、万能とはいかないという事である。
大罪武装は、威力は強力だが、使うには大量の流体がいるし、うちの副長も弱点がなさそうに見えて、まず術式が使えないというのがあるし、それと戦法のせいで遠距離には超弱いというのがある。
実際、前に訓練で遠距離の時用の訓練をしていたのだが、面白いくらい相手はシュウやんは何も出来なかった。
最終的には、浅間と一緒に頭を五点、胴体を三点、手足を一点、股間を十点で競い合った
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