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料理下手は先入観
第一章
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                料理下手は先入観
 エレン=オブライエンは日本に英語の先生として滞日した、金髪の短めの髪の毛と大きな紫の目に整った顔立ちを持っている、背は一六〇位でかなりのスタイルだ。
 だが彼女の話を聞いてだ、彼女が赴任した中学校の誰もがまずは驚いた。
「アイルランドなんだ」
「イギリスでもアメリカでもなくて」
「そういえばアイルランドも英語だったね」
「アイルランド語もあるけれど」
「どちらの言葉も教えられるから」
 そのエレンの言葉である、日本語も流暢だ。
「安心してね」
「はい、確かに」
「先生の英語わかりやすいです」
「それもかなり」
「イギリス人じゃなくても」
「まあどうして英語喋られるかは別にして」
 そこにある歴史的に複雑な事情は置いておいた。
「英語勉強しましょう」
「わかりました」
「宜しくお願いします」
 生徒達はこれで納得した、だが。
 彼女と親しくなった学校の若い先生達は彼女の自宅での夕食に笑顔で誘われた時にだ、不安な顔になった。
「イギリスってお料理はね」
「悪名高いからね」
「実際行ったら酷いし」
「評判通りだし」
「それでアイルランドは」
 エレンの祖国はというと。
「そのイギリスよりもね」
「食文化酷くて」
「もういいものなんてね」
「何も聞かないし」
「それだとね」
「オブライエン先生のお料理も」
「どんなものが出るか」
 それこそというのだ。
「わかったものじゃないわね」
「絶対に美味しくないわね」
「アイルランド料理って聞かないし」
「しかもあのイギリスよりもっていうから」
「もうね」
「覚悟して行った方がいいわね」
 こう話してだった。
 先生達はエレンの下宿先に赴いた、するとエプロン姿の彼女が笑顔で迎えてくれてリビングに招待してくれて。
 料理を出してくれたがその料理は。
「ハマチのお刺身に海老とお野菜の天婦羅」
「それに豆腐とお野菜の和えもの」
「若布とお豆腐のお味噌汁」
「それに白いご飯」
「日本に来て和食中心に切り替えたの」
 エレンはにこりとして答えた、エプロンの下のスラックスからも奇麗な脚がわかる。
「それで今夜もね」
「このメニューなのね」
「そうなのね」
「普段はもっと質素だけれど」 
 それでもというのだ。
「今日は貴女達とパーティーだから」
「それでなのね」
「奮発してくれたのね」
「皆で食べましょう」
 こう話してだった。
 先生達はエレンが作った料理を食べた、その味は。
「あっ、美味しいわ」
「そうね」
「お刺身適度に切られていて」
「天婦羅もいい揚げ具合でね」
「和えものもお味噌汁もいいわ」
「味付けもしっかりしてるわ」
「こう思ったでしょ」 
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