第3部
サマンオサ
これをデートと呼ぶかは以下略
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入れなければならないんだ。心配ではあるが、ここはルークに希望を託すしかない。
私が決意している間に、ルークは上半身裸になると、ランタンを私に渡した。
「これでずっと湖の方を照らしてて。道標がないと帰ってこれなくなるから」
「……わかった」
私はランタンの取っ手をぎゅっと握り締めた。出来ればルークに危ない目に遭ってほしくない。けれど、今ここで湖に潜ることが出来るのは、彼しかいない。ここで待ってることしか出来ない自身の情けなさに、私は溜まっていた涙を一粒流す。
「ルーク。危ないと思ったら、すぐ戻ってきてね」
「うん。必ず戻ってくるよ。……だから、泣かないで待ってて」
まるで私を元気づけるようにきっぱりとそう言い放つと、ルークは私の頬に伝った涙を指で掬った。
「!!??」
びっくりする私をよそに、彼はそのまま颯爽と湖に飛び込んでいってしまった。
あまりに自然だったので反応に時間がかかったが、ルークの私に対する接し方には戸惑ってばかりである。戻ってきたら一言言わないと気が済まない。
私は固い決意をしながら湖底を潜っていくルークの後ろ姿をじっと見送った。
けれど、彼の姿がどんどん小さくなるにつれて、私の心配はそれに反比例するように大きくなっていく。漠然とした不安は上手く形にすることが出来ず、ただひたすら彼の無事を祈ることしか出来なかった。
「――あっ!」
そんな私の胸中をよそに、湖底からチカチカと光が放たれた。どうやらルークが目的のものを手にしたようだ。あとは戻るだけ。私がほっと安堵の息を吐いたときだ。
「!!」
背後から殺気を感じ、即座に後ろを振り向く。
まさか、こんな時に!?
視線を向けた先にいるのは、まがまがしい気配を纏った異形の生物??すなわち魔物であった。
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