第三部 1979年
戦争の陰翳
苦境 その4
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クナマラ国防長官の軍事費圧縮という意向を受け、空海軍共用の戦闘機として開発された。
しかし、肝心の戦闘爆撃機としての機能は不十分であり、当初から検討していた米海軍での採用は見送られた。
純粋な爆撃機としては、優れた兵器搭載量や低空侵攻能力を有しており、ベトナム戦争に投入された。
主に対地攻撃任務に用いられ、低空侵攻能力から、戦略爆撃機として米空軍戦略航空軍団で運用された。
一方、陸軍では戦術機を新たな兵器として認識し、重宝する運用方針を取っていた。
移動速度は早く、オフロードもある程度克服でき、機関銃やグレネードランチャーなど装備が可能。
戦場の上空には対空用のレーザーが飛び交っている為、低速のヘリは格好の標的になっており、より高速で移動できる戦術機は光線級に狙われにくい。
平地での高速移動手段としてだけでなく、装甲車両では侵入しづらい林間や山間部を利用した強襲などにも使えるなどである。
欠点は、敵陣に近づくと攻撃を受ける点で、戦術機には戦車ほどの装甲がない。
それでも砲撃によって光線級から対空用のレーザーを出すのを阻止できれば、戦術機は敵陣を通り抜けられることもある。
この戦術は、大きなリスクを伴うものの、双方にとっての戦術的課題、つまり光線級からレーザー射撃を受ける中、敵陣をどうやって移動するかという課題を解決すると考えられている。
この攻撃は大砲や弾薬の優位性にとって代わるものではなく完全に新しい戦術で、戦術機の使用は、効果で整備の大変な航空戦力の使用を節約するのに役立っており、陸軍省では一定の効果が認められる戦術と評価していた。
航空機の代案として編み出された戦術機だが,実際は航空機の援護があることで成立している一例である。
現代の戦場における皮肉な現象の一つとして、言えるであろう。
ひかり号が、終点の一つ手前である京都駅に着く。
プラットホームに降りた途端、京都盆地の何とも言えない蒸し暑さを感じた。
マサキは、さりげなく周囲を確認した後、アイリスディーナの方に振り返る。
暑さになれず、半ばぼうっとする彼女の手を引いて、駅舎を後にした。
駅前の停車場に来ると、真っ先に76年型のアコードの方に駆け寄った。
一足先に京都駅前に来ていた白銀が運転する車に乗って、市街に向かった。
その様子を止めた74年型のクラウンの車中から一部始終見ている者がいた。
男は、マサキ達の車が発信するなり、車載電話の受話器を持ち上げる。
「今、京都駅から、市街に向かいました」
「了解!」
彼らの動きは、城内省の下部機関である情報省によって逐一観察されていたのだ。
議長たちと別行動をする東独軍将校の存在を見逃すほど、彼らは無能ではなかった。
むしろアイリスディーナのことを、飛んで火にいる夏の虫とさえ
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