第三部 1979年
戦争の陰翳
苦境 その1
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ゼルシャフト》の胸ポケットから、メモとペンを取り出すと何やら書いた。
立ち上がって、議長の脇から走り書きを見せる。
議長は、後ろを振り向かずに右手を振った。
このハンドサインは、自由にしてよいという許可だ。
マサキの席にいたのは、彩峰の他に、2名の高級将校だった。
東京からほど近い場所にある土浦海軍航空隊と、朝霞にある陸軍基地の司令。
それぞれ中将で、海軍予科練航空隊長と陸軍予科士官学校長だった。
彩峰はおろか、さしもの美久も緊張しているようだった。
思わず、マサキはため息をついた。
己の作った推論型AIの学習機能の素晴らしさに、感嘆のため息をついたのである。
愚にも付かぬことを考えていても、仕方があるまい。
煙草盆にある白いフィルター付きタバコを取る。
これは来賓用に用意された恩賜のタバコである。
純国産のタバコ葉で、何時も吸っているホープと違い風味も何もない素朴な味付けの紙巻タバコだった。
しかも湿度管理が甘くて、大抵の場合乾燥しきっており、非常に辛くきつい煙草だった。
煙草に火を付けようとした瞬間、向こうから灰色の制服に濃紺のズボンを着た一群が来るのを認めた。
それは彼にとって見慣れた両前合わせの東独軍の室内礼装だった。
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