第一章
[2]次話
もやしや豆苗を使うと
物価が高い、女子高生の林真由美はよく家で母の胡桃に言われていた。真由美は大きな垂れ目で穏やかな感じの和風美人といった顔立ちで長い黒髪はやや癖がある。背は一五八程で胸が結構あり色白だ。母はその娘そっくりである。
「物価が高いのよ」
「今何でもよね」
「そう、まさにね」
娘にぼやいて言うのだった。
「お父さん働いてお母さんパートで」
「やっていってるけれど」
「それでもね」
「物価が高くて」
「困るわ、お野菜だってね」
これもというのだ。
「兎に角ね」
「高くて」
「困ってるわ、飲食店なんか」
この商売はというのだ。
「もっとよ」
「困ってるのね」
「そうよ」
実際にというのだ。
「これがね」
「物価が高いと」
「食材も高くなって」
そうなりというのだ。
「お水も電気もでしょ」
「ガスだってね」
「そうした状況だから」
それ故にというのだ。
「もうね」
「苦しいのね」
「そうなのよ、今は何処も誰もがね」
まさにというのだ。
「苦しいのよ」
「そうした状況ね」
「そうよ」
こんなことを言うのだった、兎角だった。
今は物価が高く家計が苦しかった、家で母からそうした話を聞いて真由美は学校でもこのことを話したが。
友人の一人でやりくり上手で知られる蜂谷詩織大きなきらきらした目で赤髪を肩の長さで切り揃えた一五五位の背で均整の取れたスタイルの彼女が言った。今は体育の授業が終わったばかりで二人共白い体操服と黒い膝までの半ズボンといった服装だ。
「本当に今何でも高いわね」
「実際そうよね」
「けれどね」
詩織はそれでもと話した。
「それならそれでね」
「やり方あるね」
「真由美ちゃんのお母さん特価のもの買うわよね」
「凄い調べてるわ」
真由美はその通りだと答えた。
「それで買ってるわ」
「その時車じゃなくて出来るだけ自転車でね」
「お店に行くの」
「そうしてね」
そのうえでというのだ。
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