第二章
[8]前話
「人に迷惑をかけない」
「そうした分野の才能ですか」
「世の中嘘を吐く天才もいるだろうし」
そうであってというのだ。
「泥棒とかスリの天才もね」
「いますか」
「実際どの分野も天才がいて」
悪事と呼ばれるそれ等のというのだ。
「その才能を発揮して」
「悪いことをしていた」
「そんな人もいただろうし」
「才能があってもですか」
「それでもだよ」
「いい才能とは限らない」
「そうであってね」
それでというのだ。
「いい分野でね」
「才能を発揮出来たら」
「もうね」
「幸せですか」
「僕に音楽の才能があるなら」
またこうしたことを言うのだった。
「それならね」
「いいですか」
「そして発揮出来ていて」
そうであってというのだ。
「生活出来ているのなら」
「運がいいですか」
「そうだよ、少なくとも生活に困っていないからね」
作曲の印税からだ、世界的な名声を得ているのでこちらでかなりの収入を得ていて財産もかなりになっている。
「だからね」
「それで、ですね」
「本当にね」
まさにというのだ。
「僕は幸せだよ」
「そうなんですね」
「天才じゃなくてね」
世の人々が言う様にというのだ。
「運がいい」
「そうですか」
「若し才能があっても」
そうであってもというのだ。
「それを発揮出来るかどうかわからないからね」
「それで発揮出来たら」
「しかもそれがいい才能ならね」
「幸せだよ、どうも僕は音楽の才能というね」
自分の才能のことも話した。
「素晴らしい才能があって」
「それを発揮出来る場所があるので」
「幸せだよ」
「そうですか」
「誰でも才能はあるよ」
何かしらに対してというのだ。
「けれどその才能がいいものかどうかは別にだし」
「発揮出来るかもですね」
「わからないからね」
だからだというのだ。
「本当に運、運命だよ」
「そういったものですか」
「そう思うよ、僕は」
こう言うのだった、そしてだった。
子安は作曲を続けていった、彼は天才と言われ続けた。だが彼はあくまで自分は幸運だと言いこうも言ったのだった。
「僕は宝くじに当たったんだよ」
「才能を発揮出来ていることは」
「そうだよ、それ位幸せだよ」
「そうですか」
「そこまでの確率かもって思っているからね」
こう言うのだった、そして作曲をしていくのだった。
宝くじに当たる確率で 完
2024・7・17
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