暁 〜小説投稿サイト〜
エターナルトラベラー
第七十五話
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が、ヴィヴィオは逆に嬉しそうにはしゃいでいた。

しばらく飛ぶと前方からギャアギャアと鳴き声を上げながら飛んでくる複数の影。それは鳥のような、豚のような、地球の常識ではありえないフォルムをしていた。大きさは全長8メートルほど。かなり大きい部類だろう。

「何か来たっ!ソラ、キャロっ!速度を上げて旋回、かわして引き離すよっ!」

「はいっ!」
「うんっ」

俺は翼をたたむように縮めると落下する勢いを推進力に変えて高度をはずして突っ切る。

「死ぬっ!しんじゃううううううっ!?」

絶叫するファート。深板の声が聞こえないが大丈夫だろうか?

危険そうな生き物には極力近づかず、モルス山脈へとたどり着いた頃にはファートは息も絶え絶え、深板に至ってはずっと気絶していたらしい。

気絶できた深板はある意味幸運だっただろう。絶叫アトラクションの如き身のこなしでの旋回を繰り返す絶叫タイムをスルーできたのだから。

さて、地球のナイアガラの滝すら霞ませる大瀑布が視界の全てを覆っている。

「す…すごい…」

「うん。…これだけでこの世界に来た甲斐があるわね」

魂が震えるほどの感動にソラも同意した。

目の前のそれはいかなる者もその流れ落ちる水量で押しつぶさんと言う錯覚が見えるほどだ。

「あ、あそこに何かが落ちてきてる」

ヴィヴィオが指差した方向を見ると、小さなビルなんかよりもかなり巨大な生き物がその滝を滑り落ち、その重量にて押しつぶされて息絶えて行く所だった。

皆その光景に絶句する。

「……それで?その目的の場所は何所だって言ったっけ?」

と、俺は深板とファートに問い掛けた。

「ああ、あの滝の裏に洞窟があって。そこを進めばある筈だ」

深板が答える。

「で?そこへはどうやって行くの?どこかに裏道があるとか?」

「無いよ」

「じゃあどうやって行くんだよっ!」

むしろその物語ではどうやっていったんだよと問いかける。

「それはもちろんこの滝を割ってだよ」

「この滝を?向こうまで何十メートルあるか分からないこの滝をか?」

「ああ。…と言う事で獅子座さんお願いしますっ!」

出番ですよボスっ!とばかりに深板が言った。が、しかし…

「いや…無理だから。俺に滝を割れと言われても無理だからね」

「ええ!?」

硬で幾ら念を込めて殴っても滝を割れるような気がしないし、スサノオの絶対防御でもその質量に潰されそうだ。…この間深板達に教えてもらったアレなら行けるかも知れないけれど、かなりシンドイから拒否したい。

「ブレイカー級魔法は?」

ファートが進言する。

「行けるかも知れないけど、貫通したら中の洞窟が崩壊するんじゃない?」
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