第七十五話
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荒唐無稽なユカリの話にアテナは話の半分も信じていない。
「……まぁ、その食没がユカリの呪力が異常に高い理由だとすれば、辻褄はあう…のか?」
アテナから見るユカリの呪力は一流の魔術師などは隔絶し、神殺しの域にまで来ているのでは無いかと思わせるほどに強力だ。
「今度私の箱庭に招待するわ。危ない所だから普通の人は入ったら死んじゃうかもしれないけれど、アテナなら大丈夫よね」
アオがヴィヴィオを助けた後、リオの家から引きあげてきたグリードアイランドを使い、ユカリもプレイし、クリア特典を貰っていたのだ。
その一つが自分用の『勇者の道具袋』と『神々の箱庭』だ。道具袋は皆が一つずつ持っている。やはり、その便利さが群を抜くからだ。
そして神々の箱庭はトリコの世界の動植物の飼育のために取ったといっても過言では無いかもしれない。それほどまでに彼女の箱庭は多種多様の動植物で溢れかえり、独自の生態系を構築していた。
「……まぁ、機会が有ればな」
ピンポーンッ
アテナがおざなりに返した時来客を告げるチャイムが鳴る。
「あ、お客さん。この時間は甘粕さんね。はーい、今行きます」
と言ってユカリは玄関へと駆けていく。
「いつもの妄言であろうよな?だが、変な油は実際にある。しかし…食没なんて物があったとしても妾が覚えられるものでは有るまいが…ふむ…」
考えながらアテナはユカリが変な袋…勇者の道具袋から取り出したひとかけらの果物を供えられたスプーンでまるでゼリーのようにすくって口に含む。
「こっ…これは…」
それは正にこの世の美味いを詰め込んだような果物だった。口に含んでから喉を通り終わるまでに7回もその味が変わっていく。
これはあの時アオ達が持ち帰った虹の実から発芽させて増やしたものだ。その木は今も箱庭の中で茂っている事だろう。
「これを出されれば確かに別世界の事を信じぬ訳にはいかぬな…本当にユカリは面白い」
本当に次から次へとビックリ箱のような少女だとアテナは再確認した一幕だった。
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