第七十五話
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無くて良かった」
すこしラブコメ的展開になっているのだが、あれは男女逆じゃないかなぁ…まぁ、今のエリオではこの重さの木の実を受け取れるだけの筋力は無いから仕方ないけれど。…がんばれ、エリオ。まだ念の修行は始まったばかりだよ。
木の実を取り終えたヴィヴィオはひょいっと飛び降りると音も無く着地した。
「パパ、切ってっ!」
「はいはい」
ナイフを片手に虹の実を縦に割るとぷるんとしたまるでゼリーか何かのように刃が通り、あふれ出る甘い匂いが強烈に鼻腔を通り抜け、その匂いが食欲を刺激する。
「スプーンか何かですくって食べた方が良いかも知れないですね」
と言ったシリカが皆にスプーンを配った。
子供が優先だろうと思い、まずヴィヴィオがそのスプーンで虹の実をすくって口に含んだ。
ゴクリと嚥下する音が聞こえる。
「お…おいしい…今までにこんな美味しい果物食べた事無いよ…」
「ほ、本当?ヴィヴィオ」
それを聞いたキャロも我慢できないとスプーンですくって虹の実を食べた。
「お、おいしいっ!エリオくんも食べてみてよっ!」
「う、うん…」
俺達の方にいいですか?と言う視線をよこしたエリオに頷いたのを確認したエリオも一口食べてみる。
「こ、これは…!おいしすぎる…」
さて、子供達が食べたのを確認してから俺達も口をつけたのだが…それは途轍もなく美味しく、至福の瞬間だった。
しかし、その幸福な時間も長くは続かない。何故なら俺達の周りを凶暴な動物達の気配が立ち込めてきたからだ。おそらくこの虹の実の匂いを嗅ぎつけて来たのだろう。
「囲まれたね」
ソラが言葉を発するよりも早くエリオ以外は既に警戒態勢に入っている。ヴィヴィオすら気を引き締めているのは確実にアオ達の影響だろう。
「ああ」
「どうするの?」
虹の実自体は勇者の道具袋にしまったのだが、その木と立ちこめる匂いは未だ健在で、その匂いにつられて来ているのだ。
「アオさん?」
俺が虹の実の木に近づいたので、何をするのだと問いかけるなのは。
俺は右手をそっとその樹脂に触れると時間を巻き戻し、種の状態まで戻した。
「どうやらこの原因はこの木だったみたいだからね。このまま放置するとこの辺りの動物が食物連鎖を超えて争いかねない。それはどうかと思うし」
「そうだね。…でも、今更囲んでいる動物達には関係ないみたいだけどね」
と、ソラ。
「匂いを風で散らすかして誤魔化せないかな」
「やってみる価値はあると思うけど」
どれほど効果があるか分からないねとフェイト。
どうするかと考えていた時、ゾクリと嫌な感じが通り抜けた。
「こ、これはっ!?」
「殺気っ!?」
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