第172話
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時だけよ。
それが星と交わした契約。」
確固たる決意を胸に秘めて、ユウナは言う。
何より、と言葉を続ける。
「この子は私を超える力を持っている。
私にはなくてこの子にあるモノがあるからね。
私も到達できなかった領域に行ける筈よ。
何より、貴方達守護者はこの子のサポートがメインだってことを忘れないでね。
あくまで私は代理よ。」
「その事は重々承知している。
ただ、少し心配でな。
その年齢で厳しい運命を背負わされているんだからな。」
少し憐れむような視線でユウナを、いや『麻生』を見る。
「最終的にどうするかは、この子次第。
っと、そろそろ時間のようね。
旅掛も表の仕事も頑張ってね。」
「足りないものを提案する。
それが俺の人生だからな。
そうだ、最後に言いか?」
旅掛の言葉を聞いて、能力を中断して再び旅掛に近づく。
「ユウナではないんだがな。
まぁ、聞こえていないだろうし自己満足だ。」
そう前置きを言って彼は言う。
ユウナではなく、彼の身体に眠っている麻生に向けて。
「ウチの娘を頼んだぞ、若造。
しっかりと守ってやってくれ。」
そう言って、『麻生』の身体を乱暴に撫でる。
ユウナはそれを聞いて、少しだけ笑みを浮かべて、その場から消える。
それを見送ってから、彼も世界の暗部へ潜り込む。
この星の為に。
シルビアはアパートメントの廊下で掃除機をかけていた。
どっかの馬鹿が連れて来た子供達の大半は教会に預けられ、新たな里親に引き取られて第二の人生を歩んでいるようだが、自らの意思でどっかの馬鹿の帰りを待っていたいらしい。
彼女は息を吐く。
どうして自分が此処にいるのだろうか。
ポンヌドダームとしての腕を磨くための長期海外研修はもう終わり、イギリスからは再三にわたって帰国命令が出ている。
給料をもらっている訳でもないし、むしろ自分の生活費は自分で稼いでいる現状だ。
こんな所にいる必要はどこにもない。
縛られる必要もないのだから、さっさとイギリスに帰るなり何なりと色々と方法はある。
それなのにここを離れようと思わない。
理由はくだらないものだ。
言葉に出すのも馬鹿馬鹿しい。
そう思いながら、玄関近くを掃除していると。
ドォォン!!、という音と共に玄関の扉が吹き飛んだ。
いきなりの展開に反応が遅れ、飛んできた扉に押し潰されてしまう。
「いてて。
ユウナ様、ピンポイントにここまで吹っ飛ばすなんて酷いです。」
あの時、ユウナがオッレルスにシルビアの場所を聞いたのは、ここにピンポイントに彼を吹っ飛ばすためである。
後頭部を抑えながら、壊れた扉はどうしようか、と考えようとした時だった。
扉
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