第133話『文化祭2日目』
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うな真っ黒のフード。その風体には見覚えがあった。まさか、奴なのか。
「……違う」
いや、雨男ではない。雨男は晴登と身長のそう変わらなかったが、目の前の人物は晴登よりも少し大きい。大体、こんな所に現れるはずがない。落ち着け、別人だ。乱れた呼吸を整え、深呼吸する。
結月もその事実に気づいたようで、落としたメニューを拾うと案内を続けようとする。
「えっと、1名様ですか? こちらの席に──」
「……」
しかし息をついたのも束の間、結月の言葉を遮るように男はおもむろに手を挙げる。その瞬間、その手が七色に輝き始めた。
直感で理解した。雨男ではないが、こいつは魔術師だと。
「結月!」
危機感を覚え、晴登は結月の名前を叫びながら厨房から身を乗り出し、彼女を守るために駆け出した。"晴読"も発動させ、来たる未来に備えて目を凝らす。しかし、男が光る右手を振り下ろすと、輝きを増した光によって視えていた風が掻き消され、教室中が光に席巻された。
攻撃……にしては痛みも熱さもない。まるで伸太郎の目眩しのような発光。しかしその規模は大きく、まるで世界が輝いているかのようで、目を背ける場所がなく覆うことしかできない。
数秒経ってようやく発光が収まり、次に目を開いた時、そこには驚きの光景が広がっていた。
「何だこれ……鏡?」
あまりの驚きで、そう声を絞り出すのがやっとだった。
それもそのはず、教室の壁も、床も、天井も、机や椅子なども含めて、人間以外の全てが丸ごと鏡に変化し、晴登達の驚き顔を多方面から映し出していたのだから。
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