第133話『文化祭2日目』
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見た目はパッと見オレンジジュースのような黄色の液体だ。匂いも柑橘系の爽やかな香りがする。
タダより高いものは無いとは言うが、売り物だし、さすがに身体に悪いものが入ってるなんてことはないだろう。結月はコップに口をつけ、一気に中身を飲み干した。
「……美味しい!」
「当然。成分にはこだわってるから。さっぱりとした口当たりでフルーティな味わいを感じることができる、最強のミックスジュースよ」
「……これ、また血を渡せば無料で飲めるんですか?」
予想以上の美味しさに、結月は目を輝かせる。少なくとも、今まで飲んできたどの飲み物よりも美味しいと思った。さっきまで怪しんでいたはずの献血をもう一度しても良いと思ってしまうくらいだ。
「残念だけど、無料なのは一度だけよ。けど、血を提供してくれるならありがたくいただくわ。魔術師の血は希少なのだから」
「そうですか……あれ? 今魔術師って?」
そんなにウマい話はないのだと、がっくりと肩を落とす結月。一方で、今の光の発言に聞き逃せない単語が含まれていたことに気づき、聞き返す。
「聞き間違いじゃないわ。貴女も魔術部なら魔術のことは知っているわよね? 非現実的で科学に反する、忌々しい手品のことよ」
「えっと……」
「私はね、魔術とやらが嫌いなの。終夜は傾倒しているみたいだけど、私には全く理解できないわ」
「何でそんなに魔術が嫌いなんですか?」
「魔術が、私から大切なものを奪ったからよ」
歯を食いしばり、憎しみを瞳に宿らせる光。その表情と雰囲気に気圧され、結月は何も口を出せない。
「だから魔術を科学で解明して、あいつを正気に戻す。私は今そのために頑張ってるの。この血を使った実験もその一つね」
「は、はぁ……」
「変な話をしてごめんなさいね。不快にしてしまったかしら?」
「い、いえ……。その、シュウヤ先輩のこと好きなんですね」
「……は?」
その発言に光は顔をしかめるが、結月は言葉を続ける。
「だって、シュウヤ先輩のことを大事に思っているから、そんなに必死なんですよね。ボクもハルトのためなら何でも頑張るぞってやる気になるから、その気持ちはわかります」
「……貴女、名前呼びだなんて随分と終夜と親しいのね。あの女と同類で、貴女も泥棒猫なのかしら?」
「あの女……?」
「気が変わったわ。ドリンクはいくらでも持って行って構わないから、貴女の血を全部寄越しなさい」
「ひっ……!」
「結月、戻ったよ──って、何なに? どうしたの?」
晴登が終夜と話を終えて戻ると、結月が何かから逃げるように真っ先に晴登の後ろに隠れる。いつも気丈な彼女には似つかわ
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