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冥王来訪
第三部 1979年
戦争の陰翳
核飽和攻撃 その2
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ま、まさか光線級!」
 空洞から姿を現したそれは、巨大だった。
パッと見たところ、要塞級の倍ほどの大きさがあり、三本の突起からは高速でレーザーを発射してくる。
チャージ時間は、見たところ、1秒もない。
 中隊長の男は、乗機のバラライカを岩陰に移し、機内にある敵識別のカタログを取る。
太ももの上で、カタログを広げると、急いで目の前のBETAを確認した。
その本は、ブルジョア似非(えせ)科学者の木原が、ハイヴを攻略した際に撮影したデータを基にした本である。
日本野郎(ヤポーシキ)が作った物をKGBが盗み出し、露語に翻訳したカタログではあるが、正確だった。
 目の前の敵の事を探したが、どこにも載っていない。
「こいつは、新種だ!」
 男の態度は、少年兵たちに絶望感を抱かせてた。
 数台の戦術機が機首を後方に向けると、跳躍した。
一本の光線がバラライカに照射される。
閃光が通り抜けた直後、機体に火焔が起こった。
炎が広がった瞬間、爆音が響き、火の粉が飛び散る。
「馬鹿野郎!なんてことしやがる」
 男は大音声で叫んだ!
「総員!転進」
 こうなった以上、軌道上にある駆逐艦から核ミサイルを撃ち込んでもらう以外方法はない。
火器を動員して、この場から切り抜けるだけだ。
「中隊各機へ、ありったけの弾をくれてやれ。
緊急避難先に転進だ。以上」
「了解。これより転進を開始する。以上」
 各機から一斉に返事が返ってくる。
それぞれの機関砲から、火山弾のように砲火をまき散らしながら、中隊は反転した。
 後退する機体に対して、巨大なBETAは水兵射撃をして来た。
撤退中の何機かはレーザーの直撃を食らい、松明(たいまつ)の様に燃え上がる。
 続いて、57ミリ砲を持ったF4Rに爆発光が走り、火災によって暗闇の中にその姿を浮かび上がらせる。
「全機!出力最大で逃げろ」
 各機が機体の出力を上げ始めた瞬間、前方から新たな大型BETAが突っ込んできた。
突撃級に砲身の様なものを付けたもので、堅い物体で出来た弾の様なものを飛ばして来る。
 男が目を大きく見開いた瞬間、これまでにない衝撃が機体を襲う。
男は意識を失う直前、微笑を浮かべた。
 1人の防人(さきもり)として、せめて戦場の中で華々しく散りたい。
 これで、あの世で待つ息子と妻に顔向けできる。
次の瞬間、その五体はバラライカの管制ユニットと共に爆砕され、炎に焼き尽くされた。
 中隊長の機体が燃え盛るころ、生き残った部隊は必死の行動に出た。
戦闘で損傷した機体が盾になって、無事な戦術機を脱出させようと抵抗を続けた。
 砲撃の間隙を縫って、数台のバラライカがMIG-23を庇う様に駆け抜けていく。
それを見送った機体は、自爆装置を起動させる準備をした。
この新
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