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冥王来訪
第三部 1979年
戦争の陰翳
核飽和攻撃 その1
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にしよう。
そうすれば日本側は警備面の失敗で、国際的な信用を失う」

「すぐに腕の立つ人物を用意しなさい」

 ソ連はこれまでの外交上の失点を取り戻すべく、二つの作戦を行うことにした。
 一つは、東欧諸国の独立を認めることで、欧州の警戒を和らげる政策である。
この政策の真の目的は、欧州に置いた通常戦力を極東に移動し、日米との決戦に備えるための準備だった。
 二つ目は、月面への核飽和攻撃の実施である。
米国に先んじて、ハイヴを制圧し、G元素をソ連の手中に収めるという物である。
ソ連は、G元素爆弾の威力を畏れ、この新兵器を一日も早く実用化したかったのだ。



 G7各国が東京サミットの交渉の準備をしていた頃。
ソ連は月面に向けて、大規模な宇宙艦隊を発進させていた。
 世界第二位を誇る宇宙艦隊は、実に錚々たるものであった。
装甲駆逐艦22隻、装甲ミサイル巡洋艦30隻。
 装甲駆逐艦という名前だが、実際は60メートルほどの大型シャトルである。
152ミリのD-20榴弾砲を2門装備し、核砲弾を1分間に6発発射可能であった。
 装甲ミサイル艦は、エネルギアロケットに開閉式のミサイルランチャーを搭載した宇宙船である。
ソ連独自の武装で、40門のミサイルランチャーから9K33ミサイルを発射可能。
BETA戦争の為、30隻ほどで配備が終了したが、計画では120隻を作る予定であった。 
 その他に、戦術機や貨物を輸送するスペースシャトル・ブラン、24隻。
白い色をしており、スペースシャトル・オービタに酷似した形をしている。
 スペースシャトル・ブランに関して、ご存じではない読者も多いであろう。
ここで著者からの、簡単な説明を許されたい。
 ブランは、旧ソ連が国家の威信をかけて開発した再利用型宇宙船である。
スペースシャトルと同じ形から、ソ連のスペースシャトルとも称された。
 だが、構造は似て非なるものだった。
 米国のスペースシャトル・オービターと違い、燃料タンクを内部に搭載していなかった。
メインブースターがないため、自立飛行こそ出来なかったものの、誘爆事故を未然に防げた。
その為、外部ロケットを切り離した後は、姿勢制御エンジンなどを用いて自力で帰還するしかなかった。
 また相違点として、操縦席に、射出座席を搭載していた。
非常時には、機内から脱出できる。
米国の宇宙船よりソ連の宇宙船の方が非常に高い安全性を備えていたのだ。
 ブランは、我々の世界で紙上の計画で終わった幻の機体である。
試験機を含め、3機ほど作られたが、終ぞ宇宙に行くことなく終わってしまった。
 だが、この異世界では、米ソの宇宙開発競争で、すでに実用化されていた。

 ソ連宇宙艦隊の旗艦「ヤロスラブリ」
その艦内で、宇宙艦隊の
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