暁 〜小説投稿サイト〜
手持ちのポケモンが何だかおかしい
2話 シンオウチャンピオン戦
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
その理由は分からないが。


「今ならいけるか」


 グレイが小さく呟いたのが、シロナにかろうじて届いた。
 今ならいける?
 一体何をしようとしているのか。


「出てこい。モルペコ」


 それはシロナが見た事のないポケモンだった。
 見た目はピカチュウに似た愛らしい姿。
 とてもグレイが手持ちにするようなポケモンには見えない。

 シロナは知らない。
 愛らしい見た目に反した、このポケモンの凶悪さを。
 そして知る事になる。
 害獣と呼ばれるこのポケモンの恐ろしさを。



「どんなポケモンでも倒すだけよ!ガブリアス、じしん!」
「ガアァッッ!」


「モルペコ、オーラぐるま"あく"」

「ガアァァッッ」
「ガブリアス!?」


 シロナが見た事のないポケモン──モルペコの見た目が変化していく。
 先程までのピカチュウのような愛らしい見た目から、姿形はそのままに凶悪な見た目へと変わる。
 見た事のない技がガブリアスを襲う。
 それと同時にその技が異常な威力を持っている事に気づく。


「オーラぐるま"あく"」
「っ、ガブリアス避けて!」


 シロナの叫びが届く前に相手の技がガブリアスに届き、ガブリアスは耐えきれず吹き飛ばされた。

 ガブリアスは何とか立ちあがろうとするが、ダメージの蓄積が大きい為か再び地に倒れる。


 その隙を、グレイが見逃す筈も無かった。


「止めだ。オーラぐるま"あく"乱射」
「ぺこぉぉっ」


 同じ技が3度続けて放たれる。
 だが先程とは数が違った。

 無数の回し車がガブリアスを襲う。
 ダメージを負ったガブリアスにそれを避ける術はなかった。

 そして


「ガアァ」


 ──ガブリアスが倒れた。


「ガブリアス戦闘不能。よって勝者、挑戦者グレイ!」


 生まれて初めての敗北。
 同然悔しさはある。
 だがそれ以上に感じるのは、自身が成長したという達成感とグレイへの感謝だった。
 それともう一つ。


 ──ー貴方と話したい。


 シロナの心には、そんな想いが芽生えていた。




 この日、長年その座を守ってきた無敗のシンオウチャンピオンが敗れた。
 その事実はシンオウ中に大きな衝撃と悲しみを与えた。



 だが、負けた本人は晴れやかな表情をしていた事には、誰も気づけなかった。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ