2話 シンオウチャンピオン戦
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その理由は分からないが。
「今ならいけるか」
グレイが小さく呟いたのが、シロナにかろうじて届いた。
今ならいける?
一体何をしようとしているのか。
「出てこい。モルペコ」
それはシロナが見た事のないポケモンだった。
見た目はピカチュウに似た愛らしい姿。
とてもグレイが手持ちにするようなポケモンには見えない。
シロナは知らない。
愛らしい見た目に反した、このポケモンの凶悪さを。
そして知る事になる。
害獣と呼ばれるこのポケモンの恐ろしさを。
「どんなポケモンでも倒すだけよ!ガブリアス、じしん!」
「ガアァッッ!」
「モルペコ、オーラぐるま"あく"」
「ガアァァッッ」
「ガブリアス!?」
シロナが見た事のないポケモン──モルペコの見た目が変化していく。
先程までのピカチュウのような愛らしい見た目から、姿形はそのままに凶悪な見た目へと変わる。
見た事のない技がガブリアスを襲う。
それと同時にその技が異常な威力を持っている事に気づく。
「オーラぐるま"あく"」
「っ、ガブリアス避けて!」
シロナの叫びが届く前に相手の技がガブリアスに届き、ガブリアスは耐えきれず吹き飛ばされた。
ガブリアスは何とか立ちあがろうとするが、ダメージの蓄積が大きい為か再び地に倒れる。
その隙を、グレイが見逃す筈も無かった。
「止めだ。オーラぐるま"あく"乱射」
「ぺこぉぉっ」
同じ技が3度続けて放たれる。
だが先程とは数が違った。
無数の回し車がガブリアスを襲う。
ダメージを負ったガブリアスにそれを避ける術はなかった。
そして
「ガアァ」
──ガブリアスが倒れた。
「ガブリアス戦闘不能。よって勝者、挑戦者グレイ!」
生まれて初めての敗北。
同然悔しさはある。
だがそれ以上に感じるのは、自身が成長したという達成感とグレイへの感謝だった。
それともう一つ。
──ー貴方と話したい。
シロナの心には、そんな想いが芽生えていた。
この日、長年その座を守ってきた無敗のシンオウチャンピオンが敗れた。
その事実はシンオウ中に大きな衝撃と悲しみを与えた。
だが、負けた本人は晴れやかな表情をしていた事には、誰も気づけなかった。
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