第3部
サマンオサ
真夜中の冒険
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かがんだ体を少しでも起こそうとすると天井に頭がつくくらい狭い階段を、私たちはゆっくりと下りた。もちろん明かりなどないので、準備していたランタンに火を灯しつつ慎重に歩を進めていく。
「階段はここで終わりだから、気をつけて」
足元を確認しながら階段を下りると、開けた場所に出た。周囲を見渡すと、そこかしこに細い通路が枝分かれするように伸びており、これといって目立った目印もない。よほど気を付けなければ迷い込んでしまいそうだ。
「ルーク。町の外に出る道は知ってるの?」
「うん。仕事でよくここは通るからね」
「仕事って、外の警備だよね? 魔物とかを警戒してるの?」
「そう。主に町の周辺の魔物退治をしてるよ。本来なら城の近衛兵がやる仕事なんだけど、最近はそれすらもやらなくなって、僕たち民間の退治業者に任せるようになっちゃったんだ」
退治業者……。要するに私たちみたいな魔物を倒せる冒険者のことだろうか。
「どうしてお城の兵士たちは魔物退治をやらなくなっちゃったの?」
どこからともなくカビ臭いにおいのする通路を歩きながら、私はルークに尋ねる。
「さあ……。もともとこの国は魔物に対してあまり危機感がないからね。町を囲う塀も今の王様になって殆ど修繕してないから、あちこちひび割れてるし。もし魔物の大群が押し寄せてきたら、一発で町は壊滅すると思うよ」
「ええ……? その割には私たちみたいな冒険者の入国は厳しく取り締まってるよね」
「その辺りも含めて、今の王様に対する評価はものすごく悪いんだ」
そういって苦々しい表情を見せるルーク。誰もいない地下通路では顔色をうかがう必要がないからか、素直に感想を漏らす。
「じゃあやっぱり今の王様って偽者なのかなあ」
ナギは偽者だと断言していたが、玉座に座っている王様を見ていないので半信半疑だった。とはいえ3人がそう判断したのだから、間違ってはいないのだと信じたい。
「悪政だから偽者だとは言わないけど、もしそうなら絶対にラーの鏡を見つけないとね」
「そもそも偽者ってどういうことだろうね? 変装でもしてるのかな?」
「さあ……。でも変装程度なら、そんな不思議な鏡なんて使わなくても、正体を暴けそうな気がするけど」
確かにルークの言うことは一理ある。にも拘らずわざわざ私にラーの鏡を取りに行かせるということは、ただの変装ではないのかもしれない。
「あっ、そっちじゃない!」
「え?」
バンッ!!
いつの間にかルークとは別の方向に歩いていたようで、気づいたときには目の前にある壁に顔からぶつかっていた。
「いったあ……」
「大丈夫? 暗いから前を良く見てないと」
ぼんやりしていて壁にぶつかるなんて、我ながら情けない。ジンジンと痛む鼻先を押さえながら、私は慌ててルークのそばに駆け寄る。
きっ
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