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ドリトル先生と奇麗な薔薇達
第一幕その六

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「本当にね」
「駄目だね」
「うん、けれどこの言葉があるのは」
 それはといいますと。
「僕にはね」
「関係ない?」
「そう言うの?」
「先生は」
「そうだよ、恋愛自体に縁がないからね」
 だからだというのです、先生は皆にお話しました。
「もてないんだよ」
「お顔がよくなくて運動神経がない」
「しかも太っている」
「だからなんだ」
「女の人にもてないのね」
「もてたいと思ったことはあるよ」
 先生にしてもです。
「学生時代少しね」
「少しなんだ」
「凄くじゃないのね」
「凄くもてたいって人多いと思うけれど」
「先生は違ったんだ」
「そうした欲が薄い様で」
 先生はというのです。
「それでなんだ」
「もてることは放棄した」
「そうだっていうんだ」
「先生としては」
「それでもういいのね」
「もてることは諦めてるんだね」
「諦めるっていうかもてなくてもね」
 そうであってもというのです。
「僕は幸せだからね」
「それでなんだ」
「もういいんだ」
「先生としては」
「恋愛をしなくても」
「そして結婚もね」
 こちらもというのです。
「別にいいかな」
「いや、そう言ってあっさり諦めるのは」
 王子は呆れたお顔でまた言いました。
「本当にね」
「駄目かな」
「無欲は先生の美徳の一つだよ」
 このことは認めるのでした。
「確かにね。けれどね」
「それでもなんだ」
「うん、先生はもっと欲を張ってもね」
 そうしてもというのです。
「一向にね」
「構わないんだ」
「そうだよ」
 こう言うのでした。
「本当にね」
「だから恋愛もなんだ」
「もてるって思って」 
 先生ご自身がというのです。
「そして欲を出して」
「恋愛、結婚もなんだ」
「求めるべきだよ」 
 カレーライス、日本のそれを食べつつ先生に言うのでした。
「そうしたらきっとね」
「僕も恋愛が出来るんだ」
「先生よりずっとだよ」 
 それこそというのです。
「酷い人が結婚してたりするんだよ」
「よくありますよね」
 トミーも先生にカレーを食べつつ言います。
「DVを振るう人が」
「旦那さんや父親でね」
「暴力は最低ですよね」
「勿論だよ」 
 先生はトミーに一も二もなく答えました。
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