第二章
[8]前話
その様にしていった、夫婦になってだ。
そうして共にことを進めていった、すると。
「ことは順調だな」
「世界は定まってきている」
「夫婦でことを進めると」
「順調だ」
「そうだな、だからだ」
トトは他の神々に微笑んで話した。
「その様に言った、だがな」
「だが?」
「だがというと?」
「生きものの姿ではだ」
それではというのだ、自分達と共に世界に出て動いている彼等を見てそのうえで神々に対して言うのだった。
「出来ることに限りはないか」
「確かにな」
「どうも限りがある」
「何をするにも」
「困ることも多い」
「人間を見るのだ」
生きもの達の間にいる彼等をというのだ。
「よくな」
「人間か」
「足だけでなく手もあるな」
「そうしたものを器用に使っている」
「そうしているな」
「頭は生きもののままでだ」
それぞれのというのだ。
「そしてだ」
「身体は人間か」
「人間のものになるのか」
「そうするのか」
「そうだ」
こう言うのだった。
「それぞれの生きものの能力にだ」
「人間の器用さか」
「それを用いるのか」
「これからは」
「そうして神として働いていこう」
神々に話した。
「どうだろうか」
「そうだな、いい考えだ」
「そうしたら余計に上手に働ける」
「人間の身体になればな」
「ではそうしよう」
「それではな」
トトは仲間の神々が自分の提案に頷いてくれたのを見て満足そうに笑った。そうしてこの時からだった。
神々はそれぞれの生きものの頭に人間の身体を持ちその両方の力で夫婦揃って働く様になった。そうしてこの世のあらゆる物事を動かしていった。
世界は神々によって築かれていき動かされる様になった。生きものの頭と人間の身体を持つ彼等の力はまさに世界を司るものであり世界は順調に動く様になった。そうなったことは全てトトの知恵によるものだった。それ故にトトは知恵の神とされた。エジプトに伝わる神話の一つである。
トトの助け 完
2024・2・14
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