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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第208話:打たれる先手
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「ッ、クリス……?」
「気にする事ねえよ。透は悪くねえ」
「でも……」
もしあの戦いで、無理矢理にでも彼女達と対話をしようとしていれば何かが変わっていたのではないかと思わずにはいられない。そう思うと俄然、透は響の事を凄いと思えた。彼女は例え戦闘中であろうとも、危険を顧みず敵との対話に臨める覚悟がある。それに比べて自分は、まだ言葉を失っていた時の事を引き摺っていると情けなくなってきた。
俯く透を見て、クリスは少し背伸びすると彼の両頬を包むように掴んで自分の方を向かせて正面から目を合わせて口を開いた。
「それに、だ。アイツらのケースを直接壊したのはアタシだ。責任があるとすれば透だけじゃなくてアタシにもある。だからそんな1人で気を落とすな」
真剣な表情で、しかしどこか憂いる様な揺らぎを見せるクリスの瞳に透も漸く肩から力を抜いた。2人でどんな事も背負うと約束した筈なのに、自分はまた1人で全部背負おうとしていた事に気付かされたのだ。その間違いを教えて正してくれた、クリスの優しさに透の心も解される。
「ゴメン……ありがとう、クリス」
「ん……分かればいいんだよ」
漸く落ち着きを取り戻した透にクリスも満足そうに笑みを浮かべる。そして冷静になって考えてみると、自分達は鼻先が触れ合う程顔を近付け合っている事に気付いた。
ハッとなってクリスが周囲を見渡せば、颯人と奏は面白いものを見るような目で2人の様子を眺め、響や切歌、調達は顔を赤くして両手で顔を隠しながらも指の隙間から覗き見ている。翼にマリア、ガルドなど他の年長者に至っては温かいものを見る目を向けてくる始末。
透の事を想うあまり周りの存在を忘れていた事に気付かされ、恥ずかしさのあまりクリスは透の胸板に顔を埋めてしまった。状況に気付いた透も、これ以上クリスを刺激しない様にと特に颯人達に対して静かにとジェスチャーしながら優しくクリスを抱きしめる。
その様子に颯人と奏は声を上げずに笑いながら軽く手をタッチしあった。
直後、2人がタッチしたのを合図にしたように慎次が部屋に入って来た。
「失礼します。被害者からの聞き取りが…………? 皆さん、どうしました?」
何やら変な雰囲気が漂う発令所の様子に慎次が首を傾げる。弦十郎は思わず苦笑しながら、気にせず報告を続けるよう彼に告げた。
「気にするな。それより、報告の続きを」
「は、はい……。被害者達によると、埠頭にて、件の2人と黒ずくめの男2人を目撃し、麻薬の取引現場だと思ったようです」
つまりは野次馬根性で覗き見していたらそれがバレて危うい所だったと言う訳か。好奇心は猫をも殺すとはこの事だと颯人は思わず溜め息を吐いた。
「バッカだね〜。つか、普通の麻薬の取引現場だって見てるのバ
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