第一部
三月の戦闘 V
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
フル弾の直撃すら軽々防ぐだろう。だからドニは、ホンの少しだけ【鋼の加護】を発動するべきだと考えていた。この権能は、体の硬度を飛躍的に上昇させる代わりに重量も極端に増える。強く発動すればするだけ、突撃の速度が下がるのだ。故に、近接戦闘能力しかない彼はこの権能を強く発動することを嫌う。
・・・のだが、今の彼はそんなことを考えていられるほど余裕では無かった。カンピオーネならば誰もが持っている超直感。それが最大警鐘を鳴らしていたのだ。アレを無防備に受けるのはマズイと。
その直感に従い、彼は【鋼の加護】を最大発動した。彼の周囲に、煌々と輝く多数のルーン文字が出現する。それは、翔希との戦いで使用したよりも遥かに強い発動。
・・・この直感に従った事が、ドニを助けた。
ドガガガガガガガガガガガガガガ!!!
「い、痛い痛い痛い!!イタタタタタタタタタ!?」
鈴蘭のM16から、銃弾がばら蒔かれた。ソレは、一発一発が爆撃レベルの威力を持っており、ドニと、その周囲を削っていく。隔離世の中の道路が、ビル群が、無残に破壊されていく。
(こ、この弾丸、明らかにヤバイレベルの呪力が込められてる!?)
流石のドニも、この猛攻には手も足も出ない。何故なら、昨日翔希が撃ってきたライトニング・エクスプロージョンにも匹敵、もしくは凌駕する程の呪力が、一発一発に込められているのだ。
(でも、これ程の呪力を使っていたら、いくらカンピオーネといえども呪力が尽きる!そこを狙う!)
彼は、ただ耐えることにした。この弾丸は威力も高いし衝撃も大きい。流石の【鋼の加護】でも、この銃弾の嵐の中を進むのは難しいと判断した。自分がいくら前に進もうが、敵が後退すれば一緒なのだから。特に、今の敵である鈴蘭は、空間転移などという超高等魔術を涼しい表情で行使する相手である。それならば敵の力が尽きるのを待つほうが賢明だ。
「呪力切れを狙っているなら意味ないよ。」
だが、防御の姿勢をとってひたすらに耐えるドニに、無慈悲な台詞が投げかけられた。その言葉の意味を彼が理解するより先に、鈴蘭の言霊が隔離世に響く。
「我は万物の父であり母である。この世の全ては我に由来し、我が支配出来ない者など存在しない。我は至高の存在也!」
傲慢とも言えるその言霊。それが唱えられた瞬間・・・。
―――爆発した。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ