第一章
[2]次話
カルボナーラへのこだわり
サラリーマンの白石昭雄はスパゲティはカルボナーラが好きである、四十代になり面長で癖のある黒髪を真ん中で分けている。目はきりっとしていて眉は太く背は一七三程で引き締まった身体がスーツに似合っている。
スパゲティを食べる時はほぼ確実にカルボナーラだ、家でもそうであり外で食べる時も同じである。
その彼にだ。社内で若いOL達が言った。
「課長カルボナーラお好きですよね」
「スパゲティはいつもそれですよね」
「よくカルボナーラのお話されますし」
「本当にお好きですね」
「大好きだよ」
白石は真顔で答えた。
「あの濃い味がいいんだよ」
「生クリームとベーコン」
「それで生卵の黄身ですね」
「それに黒胡椒」
「その組み合わせがですね」
「大好きだよ、だからこれからもな」
OL達に笑顔で言うのだった。
「スパゲティ食う時はな」
「カルボナーラですね」
「あれ食べますね」
「そうしますね」
「そうするよ」
こう言ってだった。
彼はカルボナーラを食べ続けた、美味いという店を聞けば必ず行き味わい家でもスパゲティの時はだった。
「パックでもな」
「あなたカルボナーラね」
「本格的に作らなくてもな」
休日に妻の香澄に話した、三十代後半になるがまだスタイルはよく一六〇位の背で波がかった黒髪は長く顎はすっきりとしている。切れ長の大きな二重の目で眉は奇麗だ。
「パックのものもな」
「お湯に入れてあっためるタイプね」
「そのソースでもな」
「カルボナーラね」
「これが美味いんだよ」
夫は妻ににこにことして話した。
「子供達は別にな」
「ミートソースでもナポリタンでもいいわね」
「イカ墨でもボンゴレでもな、けれど俺はな」
自分はというのだ。
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