第一章
[2]次話
生まれ故郷はフランス
ふわりを散歩に連れて行ってだった、彼女の家族である国崎家の主である文太は家に帰ったところで息子の洋介に言われた。
「この前ふわりのこと散歩中に聞かれたんだよ」
「誰にだ?」
「お向かいの本田さんにな」
「あそこのお婆さんか?犬好きだからな」
「そうだよ、あの人犬好きだからな」
父の言う通りにというのだ。
「それでこの前聞かれたんだよ」
「何てだ」
「ふわりトイプードルだろ」
その種類の犬だからだというのだ。
「フランス産の」
「ああ、そうだったな」
父は言われて思い出した様な感じになって言った。
「トイプードルはフランス生まれだ」
「それで狩猟犬だったよな」
「元はな」
「飼い主が撃った水鳥を捕まえてくる」
「水に入ってな」
「そうしてくる犬だよな」
「元はな」
息子にそうだと答えた。
「そうだよ」
「じゃあな」
それならというのだった。
「ふわりの名前も本当はフランスの名前にならないかってな」
「聞かれたのか」
「そうな」
「そういえばな」
父はそう言われて頷いた。
「そうだな」
「そうだよな」
「血統書だってな」
「ふわりのな」
「今持って来るな」
こう言ってだった。
文太は実際にふわりの血統書を持って来た、前の飼い主はそれすらも捨てていたが彼はふわりを保護した時に拾って保管したのだ。
その血統書を見るとだった。
「アルファベットで書かれてるな」
「名前はな」
「これあれだよな」
息子は名前だけアルファベットで書かれているその文章を見て言った。
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