第二章
[8]前話
「この青山隆明って人ですが」
「国立しかも七帝大の中でも有名な大学の法学部出てね」
「それも首席で」
「在学中に司法試験通ってるね」
「この人どうですかね」
「面接してみよう」
椿谷はこう真田に返した。
「まずは」
「経歴凄いですが」
「会わないとわからないよ」
「これで決定じゃないですか」
「まずは会ってからだよ」
こう言ってだった。
椿谷は真田と共にその弁護士とも面接の場を持った、当然他の弁護士とも面接をして詳しく話をしてだった。
三人採用された、そこは予定通りだったが。
「あの、あの人ですが」
「青山さんだね」
「何だったんですかね、あの人」
真田は採用の手続きを終えてから椿谷に言った。
「本当に」
「いい大学を出てるけれどね」
「しかも首席で」
「在学中に司法試験にも受かった」
「物凄い人ですが」
「経歴はね、しかし法律の応用や常識はね」
そういったものはというのだ。
「全くなくて喋り方もね」
「酷かったですね」
「あれじゃあ酔って粗相をしても」
それで罪に問われてもというのだ。
「死刑になるかもね」
「そこまで酷いですね」
「だからあの人だけ不採用にしたけれど」
「何かお仕事も過激派とか活動家絡みの」
「碌でもないものばかりだしね」
「採用しなくてよかったですね」
「あの時面接するって言ったのは」
椿谷は真田に真面目な顔で話した。
「ああした人がいるからなんだ」
「経歴は凄くても」
「学歴がね、しかしね」
「それだけの人がいますね」
「ああしたね、そのことわかったかな」
「わかりました、その人を見る様にします」
経歴や学歴でなく、とだ。真田は椿谷に答えた。そうして以後人を能力や人格で見て判断する様になった。そのあまりにも酷い弁護士のことから。
そしてだ、後日彼女は椿谷に言われた。
「あの青山弁護士公安に捕まったよ」
「公安ですか」
「あのミサイルばかり撃つ国と関わっていてね」
「過激派とか活動家との縁で」
「それで工作員を家に入れたりしていて」
そうしていてというのだ。
「拳銃持っていてそれがばれてね」
「公安に、ですか」
「そこから色々調べられてるらしいよ」
「過激派とかとのつながりとかですね」
「あの国とかね」
「そうですか、採用しなくてよかったですね」
「そうだね」
こうした話をしたのだった、そしてあらためてその人の能力や人格を見て判断しようと思ったのだった。
エリート大卒というが 完
２０２４・６・１７
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