二十一話
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ないだろう。
「貴様の持つ能力、魔法無効化能力は正に魔法使いたちの天敵だ。はっきり言って、近衛このかの魔力等より、よっぽど価値がある」
「それに、だ。いくつか気になることもある」
「そ、っか」
明日菜も、どこか予感していた。自分は魔法から逃げられないそん漠然とした気持ちを今この場で言われる前から感じていたのだ。
正直な所、明日菜は魔法に恐怖を感じていた。修学旅行中こそこのかを取り戻そうと必死で、そんなこと微塵も気にしていなかったが、ネギとエヴァンジェリンの模擬戦を見て死の可能性を垣間見てしまったのだ。
だが、明日菜はそんな運命に抗おうとは思わなかった。自分と同じく、今から歩み始める友が居る。そしてなにより、今も此方を心配そうな顔でうかがっている子供先生。コイツなら、きっと自分たちを守ってくれる。そんな確信が、明日菜の中には既にあった。
「まあ、そうなっちゃったのは仕方がないし。これからよろしくね」
だからこそ彼女は、これから世話になる人物たちへ最大の笑みを持って、頭を下げた。
「さて、最後だが……」
エヴァンジェリンにジロリ、と睨まれて(本人にその気なし)のどかは目に見えて慌てた。元々人見知りの気がある彼女が、威圧を伴って睨まれればそうなったのは当然と言えよう。
「宮崎のどか。貴様が魔法に関わっていかなければならない理由は、そっちの二人よりは軽い。だが、馬鹿に出来ないのも事実だ」
のどかの理由。それは彼女の元に出現したアーティファクトだ。絵日記、というコミカルな形態をとっているとはいえ、読心という力がどれほど強力なものなのか想像するのは容易い事だろう。
アーティファクトは従者と主の相性によっても多少は左右されるが、やはり一番は扱う者の資質だ。例えネギが彼女と契約を解除しても、他の魔法使いと再び契約した際、またいどのえにっきが出てくる可能性は非常に高い。
「アーティファクトの収集家は多くいる。中には他者から奪ってでも、という輩もな。お前がそれを手に入れてからまだ数日しか経っていないし、使ったのは修学旅行での一件とこの別荘の中でのみ。だが、情報とはどこから漏れるか分からんからな」
のどかとて、既に魔法に対する幻想など捨て去った。それだけのインパクトがネギとエヴァンジェリンの模擬戦にはあったのだ。
怖い。魔法が。魔法と関わっていくことが。だが、それ以上に身に降りかかる危険を理解していないことが怖い。だから、彼女は勇気を振り絞る。前を向き、立ち向かうのだと己を振い立たせる。
そして何より……目の前にいる少年と同じ場所に立ちたかった。恋する乙女は、時に想像を絶する力を発揮するのだ。
この日、三人の少女が新たに魔法の世界へと足を踏み入れる
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