第一章
[2]次話
悪口を言うと嫌われる
高倉尚久は通っている中学では有名人である、それは彼の丸い顔と太い眉に蛸の様な唇と剣呑そうな目と色白な小柄さから来るものではない。ましてやパンチに似たパーマをかけた黒髪からでもない。
その性格からだ、有名というのは嫌われ者としてだった。
「うわ、高倉と同じクラスかよ」
「嫌な奴と一緒になったな」
「関わらない様にしましょう」
「無視しようぜ」
クラス替えになるとこうでだ。彼が学校の図書委員になると、
「高倉は数に入れないでな」
「いないものとして考えような」
「顔も向けないでおきましょう」
「声もかけないで」
兎角だ、彼は嫌われていた。そんな彼を見て転校してきた洲脇豊一六五位の背で細い目と大きな口に四角い顔と黒く短い髪を持つ彼は不思議に思ってだ。
転校してすぐに仲良くなったクラスメイトにだ、怪訝な顔で尋ねた。
「同じ学年の高倉尚久だけれど」
「あいつか?」
早速嫌そうな返事だった。
「関わらな方がいいぞ」
「随分嫌われてるみたいだな」
「学校でも有名な嫌われ者だよ」
その嫌そうな声での返事だった。
「最悪だよ」
「あんたも嫌いなんだな」
「学校で好きな奴はいないよ」
「そんなに嫌われてるのはどうしてなんだ?」
「性格悪いからだよ」
「性格か」
「見ていればわかるよ、あんな嫌な奴いないからな」
こう洲脇に言うのだった。
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