第3部
サマンオサ
その頃の勇者たち(ユウリ視点)
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代々城の宝物庫に保管されていた。だがその存在を知った偽物は、自分の正体が明るみになることを恐れ、その鏡を手下の魔物に渡し、町の外にある洞窟へと隠してしまったらしい。特殊な魔力が込められているためそう簡単に壊されることはなかったそうだが、今もその洞窟にあるかどうかはわからない。
「なんだよ、そんな便利なものがあるなら早速取りに行こうぜ」
俺は今にも行こうとするバカザルの首根っこを掴んだ。
「バカザルは本当にバカザルだな。俺たちは仮にも罪人だぞ。ここで俺たちがいないことがバレたら大騒ぎになるだろ」
「あ、そっか……」
「でも、明後日にはあたしたち処刑されちゃうんだよ? それまでになんとかラーの鏡を手に入れないと……」
そこまで考えて、必然的にある考えが浮かび上がる。だが、それを実行するにはあまりにもリスクが高すぎた。
「……」
シーラもちょうど同じことを思いついたのか、ハッとしたきり口を閉ざす。
「な、何だよ二人とも。なんか思いついたんじゃねーのかよ?」
焦れたように促すバカザルの顔面を殴りたい衝動に駆られたが、ここは堪えてシーラの代わりに口を開いた。
「一人だけ捕まってない奴がいるだろ。そいつにラーの鏡を取りに行かせる」
「一人だけ……って、まさかミオか!?」
それがどういう意味か、さすがのバカザルもわかっているはずだ。
「バカザル。盗賊のお前なら、少しの間城を抜け出して、あいつのもとに行くことくらいできるはずだ」
「で、でもよ! ミオ一人でそんなあるかどうか分かんねえ鏡を取りに行かせるなんて、無茶にもほどがあるだろ!!」
「無茶でも、今はあいつに託すしかない。誰かがやらなきゃ俺たちは無駄死にだ」
「……くそっ」
舌打ちをしたあと、バカザルは埃にまみれた石の床を蹴った。埃が舞い上がり、重い空気とともにそれが落ちていく。
「ナギちん。ミオちんを信じよう。きっとミオちんなら、ラーの鏡を見つけてくれるはずだよ」
シーラの強い口調に、バカザルは顔を上げた。
「……お前らがそこまで言うなら、こっちは納得するしかねえじゃねえか」
自分に言い聞かせるようにそう言い放つと、バカザルは部屋を出ていこうとした。
「おい、バカザル。何も考えずに飛び出すなんてホントにバカザルだな。せめて鏡のある場所を聞いてから行け」
「んだと!? つーかさっきからバカザルの使用方法間違ってねえか!? いや、使用方法ってなんだよ!?」
バカザルの叫びと同時に、遠くのほうで足音が聞こえてきた。まずい、看守が見回りに来たのかもしれない。
「バカザル!! 早く場所を聞き出せ!!」
「わーってるよ!! えっと、紙と書くもの……」
バカザルがのんびり洞窟の場所を聞いている間に、看守の足音がどんどん近づいてくる。一番奥ならしばらくは来ない
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