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Fate/WizarDragonknight
五百年分の魔力
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首は、そのままキャスターの腕に持ち上げられていく。足をバタバタと動かして抵抗するが、そんなものは全く意味をなさない。
 キャスターの傍らの魔導書は、ペラペラとページをめくっていく。やがてページを指し示すのと同時に、キャスターの魔力が形として現れる。
 黒い魔力が、さらにあふれ出す。それは、アウラの全身から湧き出る白い魔力を覆いつくし、むしろ飲み込んでいく。
 そして、アウラの魔力さえも吸収した魔力は、やがて炎のように赤くなっていく。それは大きな形を作り上げ、アウラの洗脳下の三人を押し飛ばしながら、だんだんとその形を露わにしていく。
 そして現れたそれ(・・)。ビーストが一時重傷を負わされ、響が大きく苦戦したその姿は。

「邪神……イリス……」

 それはかつて、ムーンキャンサーのサーヴァントとして見滝原を混乱のどん底に突き落とした邪神イリスであった。
 炎で作られたイリスは、その肩から特徴的な触手を伸ばす。その先端が花のように開き、内部より太陽が出現した。
 左右に対となる炎のそれは、夕方の現在を、より赤く塗りつぶしていく。

「悠久の時を経た魔導の前に朽ちろ」
「あ」

 キャスターはアウラの額に手を当て。

「うそ……」
「オーバーブーストプラズマ」

 それ以上の言葉はない。

「うわッ!」
「……ッ!」
「ぐッ……!」

 邪神イリス由来のプラズマ火球。
 その余波に吹き飛ばされた響、フロストノヴァ、パピヨンは、それぞれ地面を転がる。
 ビーストが響を助け起こした時には、すでにアウラの姿はどこにも無くなっていた。
 間違いなく。
 あの魔族の肉体は、天秤諸共蒸発していた。

「これが……キャスター……!」

 震えた声のパピヨンが、その名を口にした。アウラの洗脳から解放され、自由に動く体を無駄に動かし、その無駄にスタイルのいい体を見せつけている。

「聖杯戦争最強のサーヴァント……! あのアウラを、こうも簡単に……!」

 パピヨンは大きな笑みを浮かべていた。
 ふざけた動きを止め、腰を大きく低くする。

「面白い……! 彼女を葬ることでこそ、聖杯へ願いを叶えることが出来ると言うことか……!」
「アイツ、何でこの状況でキャスターにケンカ売ろうなんて考えられるんだよ……!」

 ビーストは呆れながら、キャスターの動きに注目する。
 アウラを葬ったキャスターは、ゆっくりとこの場にいる参加者たちへ振り向く。

「ランサー、ゲートキーパー……そしてお前は……?」
「初めまして。君のことは聞いているよ、キャスター。愛を込めて呼んでくれ。蝶人☆パピヨンと」
「……」

 キャスターの表情にはほとんど動きがない。だが、薄っすらと困惑しているのではないかとビースト
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