第95話 幸せな夢の中で
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×の字に喰らった猟兵はそのまま崩れ落ちて消滅した。
「はぁ……はぁ……やった」
私は大剣をしまいあの日何もできなかった弱い自分を少しだけ許せたような気がしたんだ。
「ラウラ、本当に強くなったわね」
「母上……」
母上は私に近寄ると頭を撫でてくれた。
「こんなにも大きくなって……出来れば生きて貴方の成長を見ていたかったわ」
「母上……私は……」
「そんな顔をしては駄目よ、ラウラ。私はもうこの世にはいない、今の私は貴方の記憶から生み出された幻でしか無いの。さあ、貴方は現実に戻ってなすべきを事を成しなさい」
「……はい」
母上と抱擁を交わして私は歩き出した。
「……母上」
「どうしたの、ラウラ?」
「私、好きな人が出来ました。その人は鈍感でお人よしで直に女性を口説いてしまう女たらしなんです、でも誰よりも優しくて他人の為に自分が傷ついても構わない危うさもあります。私は彼を……リィンを守ってあげたい。そして母上と父上のような素敵な家族になりたいんです」
「ふふっ、あの剣一筋だったラウラも恋をしたのね。貴方とリィン君の子を見て見たかったわ」
「それはいずれ……とにかく母上、私は前に進みます。だから見守っていてください。
「ええっ、勿論よ」
「それと……例え幻だとしてもまたこうして会えて嬉しかった……さようなら、母上」
もう振り返らない、私はそのまま歩みを続けた。そして深い霧の中に光を感じた私はそこに向かって進み続けた。
「さようなら、私の愛するラウラ。幸せになって頂戴、私の分まで……」
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―――
「……ここは?」
私が目を覚ますとそこは小さな湖の中心にあった小島の上だった、近くには大きな木が立っているが注目すべきはそこに埋め込まれたモノだ。
「ゴスペル?」
そう、大木にはゴスペルが埋め込まれていたんだ。では近くに執行者が?警戒して辺りを見渡すとリィン達が倒れていた。
「リィン、皆!」
私は駆け寄ってリィンを抱き起す。
「フィー、ラウラ、レン、エレナ……行かないでくれ。もう一人は嫌だ……」
「リィン……」
苦痛に顔を歪めるリィン、もしかすると悪夢を見ているのか?
「リィン、大丈夫だ。私はここにいる」
私はリィンを抱きしめてそっと口づけをする。すると暖かい光が私の手から放たれてリィンに流れていった。
(母上?)
私はその力に母上の優しさを感じた、もしかしたら母上が力を貸してくれたのかもしれない。
「う、うぅ……」
するとリィンが目を覚まして私を見上げて
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