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私 あの人のこと 好きなのかも やっぱり好きなんだよ 昔からー
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 叔父さんは、陣屋という家まで案内してくれて、そこのおばあさんが応対してくれた。

「なんもー うちなんか 田舎の百姓だで なーも 昔のことなんか書いたもんありゃせんがなー ワシが嫁に来た時には、この家にも立派な蔵があったんじゃが無くなってしもーた」

「そーですか なんか ご先祖様の話 聞いて無いですか? どうして梅林だったのかとか」

「だのー ワシがここンちに嫁に来て 蔵ん中で、紙を綴じたのを見たことがある そこにはな たぶん江戸の昔に書かれたんじゃろーな 平仮名ばっかりで、詳しいことは読めなかったんじゃが この家のご先祖様に 多分 平太という名前の人がおってなぁー いつのことかわからんが 東のほうから山を越えて、一人の旅人が現れて 湖《うみ》の側に小屋を作って居ついたそうな 梅の木を何本か抱えていて、それを植えていたそうだ。その旅人は湖に潜って魚を獲るのが上手くって、それと麦とか野菜に交換して村人と仲良くなったそうな そのうち、村の若者達に この辺りは気候も温暖だから、きっと梅も育つからって 立派に梅の実がなって 皆に勧めたそうな その人の梅の木は旅の途中で神社から譲ってもらったそうな それに乗ったのが何人か居てな 平太もその中の一人だったみたいだ」

「その旅人って イラブって人じゃーないですか?」と、私は焦っていた。

「名前は書いてなかったと思う。じゃけん 数年後、よぉけぇー梅の実が成りだして、銭に替えれるようになってきたんじゃ すると、若者達はその人の名前に綾かって、自分の名前の最後に夫の字を付け出したそうな だから ウチのご先祖様も平太夫となったそうな どうも怪しい話だがな」

「ねぇ きっと 伊良夫 の 夫 ヨッ! ねぇ イオ」

「うっ う〜ん・・・でも ウチの先祖の伊吹起とは・・・」

「こんなことも書いてあっただ その人はなひとりもんだったんじゃが・・・村の娘に手を出して、孕ませてなー その娘は隣の村に嫁に行くことが決まっていたんだ けんども・・その子が1歳になった時、赤子を置いて訳も無く突然姿を消したらしい 多分 村人の眼に耐えられなかったんじゃろてー そして、残された子供は、その旅人の人が育てたんだと思うが・・・そこまでは書いて無かったと思う・・ それにな、その人は採れた梅をな 鳥浜まで舟に乗せて、そこから敦賀まで運んで売るということまでやり出したらしい けんど、ある日 大風が吹いておるのに無理して舟で出て行って、そのまま帰らぬ人になったとあった だけんど村人はその人を祀って 墓石をその人の小屋の横に置いたそうだ その人が祀っていたという細長い二つの石の横に並べてな」

「きっと その子供がイブキさんよー きっと・・・」と、言う私を伊織利さんは黙ったまま呆れた眼で見ていた。そして、帰りにご先祖
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