第9話 仮面の戦士
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られる話だった。そして、それは即ちショッカーが世界を征服しようと既に世界中に網を張っていると言う事に他ならない事でもあった。
止めねばならない。これ以上自分の様な悲しい人間を増やさない為にも自分は戦わなければならないのだ。その思いを胸に猛は緑川博士を連れて見知らぬ道をひたすら走り続けた。
ショッカー達が本郷の逃亡を嗅ぎ付けるまでそうは掛からない筈だからだ。
***
なのはと健の乗った車が峠道を走っていた。目的地であるアミーゴまではもう間もなく着く筈だ。
「しかしそのアミーゴとやらに行って何をするつもりなんだ? まさかこんな遠くまで来てコーヒーを飲むだけってんじゃねぇんだろう?」
「人が行方不明になっているんです。私の知り合いも行方が分からないんです」
「成る程、最近巷を騒がせている失踪事件と絡んでいたのか。面白い話だ。私立探偵としちゃぁ首を突っ込まない訳には行かない話しだぜ……ん?」
ふと、健は何かを見つけたのか車を止める。それは、目の前を歩く二人の人影であった。
一人は青年であり、もう一人は老人である。その二人がヨタヨタとこの峠道を歩いていたのだ。
「よぉ、こんな道を歩くなんざ正気の沙汰とは思えないなぁ」
「お、お前! 風見! 風見志郎じゃないか! 良い所に居た!」
「誰の事だ? 悪いが人違いだな。俺は早川健。唯の私立探偵さ」
「何? それにしちゃそっくりってもんじゃないぞ」
青年が健を見て驚きに包まれていた。そんな時、なのはが青年を見てハッとする。
「ほ、本郷さん! 本郷さんですよね?」
「君は……確か、なのはちゃん? あの恭也の妹の?」
「はい、なのはです! 私が幼い頃良く遊んで貰ったなのはです」
「やはりそうか。道理でお姉さんやお母さんと面影が似てる筈だ。暫く見ない内に大きくなったね」
そう言って猛がなのはの肩に手を置く。その際、猛の手に猛烈な力が入りなのはの肩を締め上げた。
「い、痛い! 痛いですよ本郷さん!」
「なっ、す、すまない」
ハッとなり思わず手を離す猛。
(そうか、俺は改造された影響で力を制御出来ないんだ。今の俺には子供と戯れる事すら出来ない体にされちまったって事なのか……畜生! ショッカーめぇ)
猛が拳を握り締めて思いつめだした。そんな光景を疑問そうに見つめる健。
「どうでも良いが、これからどうするんだお前たち。俺達はこれから喫茶店アミーゴに向かう途中なんだが」
「アミーゴ? おやっさんのところに行くんだな。だったら俺達も連れてってくれ」
「良いぜ。だったら車の後ろに……ん?」
何かの気配に気づいた健の顔色が曇りだす。それは獣道の向こうから迫る数名の集団であった。
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