第3部
サマンオサ
深夜の来訪者
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? 正直ミオ一人で行かせるの不安だったんだよ」
「え!?」
ルークの方に顔を向けると、私が口を開くより早くルークが決意を秘めた目でこちらを見返した。
「もちろん一緒に行くよ。というか君たちが言う前から同行しようと思ってたし」
「本当に!?」
「今まで本物だと思っていた王様が偽者だと聞かされて、このまま黙ってミオを一人で行かせるわけないだろ。嫌だと言ってもついていくよ」
「ルーク……、ありがとう」
「悪いな、ルーク。ミオの知り合いのお前が一緒なら、オレも安心だよ。オレたちがこの先どうなるかは、お前らにかかってるからな」
「どう言うこと?」
「このままだとオレら三人、明後日の昼には処刑されちまうんだ。てことで、よろしくな」
『えっ!?』
「明日の夜のこの時間に、城の裏門の方に来てくれ。オレが手引きする」
「ちょ、ちょっと待って!? 処刑って、そんな去り際にいきなり……」
「けど、無理はするな。お前にもしものことがあったら、オレはもちろんシーラやユウリも何するかわかんねえからな」
「いや、それより今処刑って言ったよね!?」
一方的にしゃべるナギにしびれを切らした私は、つい大声で叫んでしまった。
「どうしたの、ミオさん!? やっぱり誰か来てるの?」
しまった、コゼットさんが異変に気づいてこっちに向かってくる。どうしようかとあたふたしていると、ルークが機転を利かせてリビングへ行ってくれた。
「ちょっと仕事の仲間と話をしてたんだ。話好きの奴でさ……」
コゼットさんと話すルークに感謝しつつ、私はナギに向き直る。ナギは困ったように微笑んだ。
「どうもこうも、そのままの意味だよ。ユウリの奴、穏便に済ませようって前もって言っておきながら、結局偽物の王の態度にキレて呪文唱えようとしたからな。当然問答無用で牢屋行きだよ」
「そんな……」
やっぱり私も一緒についていけば良かったのでは、と頭をもたげる。
「オレらも最初抵抗したんだけどよ、どういうわけか周りの兵士が妙に力が強くて成す術がなかったんだ」
当時の状況を思い出したのか、首を傾げるナギ。シーラはともかくユウリやナギをも抑え込む兵士がいるだなんて、確かに妙だ。
「だから、この現状を打破するためには、あの偽物の正体を暴くしかねえ。全てはミオ、お前にかかってんだ」
そう話すナギの姿に、いつもの飄々とした雰囲気は全くない。それは今の彼の言葉が本当であることの証明でもあった。
「それじゃあバレるとマズいから戻るぜ。……また明日な」
明日、という言葉がこれ程不穏に聞こえる時が今まであっただろうか。もしかしたらもうユウリやシーラに会えなくなるかもしれない。一瞬でも最悪な未来を想像して、私は熱を失った顔でナギを見送る。
扉を開け、静かにナギが出ていった。闇の中に消えてい
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