第3部
サマンオサ
深夜の来訪者
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「確か名前は『ラーの鏡』と言っていた。とにかくその鏡を使えば、偽物の本当の姿をあぶり出すことができるらしい」
サマンオサの国自体が酷い状況なのは、偽者が本物の王様に成り代わっていたからなのか。しかも何年も前からだなんて、どうして誰も気づかなかったのだろう。
ここまで考えて、なぜナギが一人でここにやってきたのか疑問が浮かぶ。
おそらく3人は、本物の王様の意見に賛成し、ラーの鏡のことを知った。きっとその鏡を手に入れるつもりなのだろうが、なぜ3人全員で抜け出さなかったのだろうか。
「ナギが抜け出せたんなら、他の二人も一緒に出てくれば良かったのに、なんで置いてきちゃったの?」
半ば責めるように言い放つと、ナギはしかつめらしい顔で私を見据えた。
「そんなことしたら、すぐに騒ぎになって鏡を探すどころじゃなくなっちまうだろ」
「あ……!」
「あいつらも王様の意見に賛同して、偽者を暴こうってことになった。だが、今オレたち全員が牢屋を抜け出したら余計面倒なことになる。だから、なるべく騒ぎを立てずにラーの鏡を見つけるために、お前に頼むことにしたんだ」
「私がラーの鏡を探しに行くの?」
途中から察してはいたが、そのつもりでナギは私のところにやって来たのだ。それなら私も協力しなければ。けど手がかりもなく、見たことのない鏡を私一人で探すのはさすがに無謀である。
「そもそも鏡って、どこにあるの? 町の東の洞窟って言っても、範囲が広すぎるよ」
そう問うと、ナギは懐から一枚の羊皮紙を取り出した。以前イシスでルオさんにもらった羊皮紙をあらかじめ皆に何枚かあげていたのだが、それを使ったようだ。
「本物の王様に、大体の場所を教えてもらってメモしといたんだ。ここに描かれてる?印のところに行ってほしい」
地図を渡されると、描かれていたのは町の絵と、その東側にある何本かの木、その隣に洞穴みたいなのが描いてあって、その中央に?印が描かれてある。正直これだけじゃよくわからない。
「……ナギ、これ誰が描いたの?」
私の指摘に、ナギは心底不服そうな顔をした。
「オレだよ! だって仕方ないだろ! ちょうどその時城の兵士が巡回に来てて、慌てて描いたんだから!」
「いや、雑なのはいいんだけど、せめて大体の方角とかどのくらいの距離にあるのかとかわからないと、この絵じゃ探せないよ」
私が呻くように訴えると、間からひょっこりとルークが顔を出してきた。
「鏡があるかはわかんないけど、この町の近くに大きな洞窟があるって噂なら聞いたことあるよ。たぶん方角もあってると思う」
「それ本当!?」
「町外れを巡回してる職場の先輩の情報だから多分間違いないとは思うよ」
想定外の収穫に、私とナギの顔が自然とほころぶ。
「じゃあルーク、ミオと二人で行ってきてくれねえか
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