再洗脳
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「またこのパターンかよッ!?」
響の体は自らの意思とは無関係に、ビーストへ格闘術を放ってくる。
ビーストは慌てて避け、響の腕を掴みながら叫ぶ。
「おい響っ! お前ほんのこの前もオレに襲ってきたばかりだぞ!」
「操られてるんだよッ!」
さらに、無駄のない動きを省いた響の肘が、ビーストの腹に炸裂。腹を大きくくの字に曲げたそれは、だんだんとビーストを追い詰めていく。
「……はっ! コイツ、使えねえか!?」
響の攻撃をいなしながら、ビーストは自らの右肩に付けられているイルカのマントを摘まむ。
「食らえ響!」
そのマントを振るうと、紫色の魔力が溢れ出し、響を包み込む。
だが。
「無駄じゃない。それっぽっちの魔力で、私の魔法を打ち消せるはずがないじゃない」
アウラが吐き捨てる。
彼女の言葉通り、響の拳はイルカの魔力を突破、そのままビーストの腹に命中した。
「ぐあッ!」
「コウスケさんッ!」
そのまま地面を跳ねたビーストは、電柱に激突することでようやく止まる。一瞬ぐったりと体から力が抜けるが、電柱を掴みながら、ビーストは響を睨んでいた。
「恐ろしい能力だな……」
そんな響たちを眺めながら、パピヨンは顎に手を当てる。
「だが、もう他に人形はいないのだろう? なら、本人の守りは薄い」
パピヨンはそう言って、数体の蝶を放つ。
ひらひらと羽を動かしながら迫る生きた爆弾たちだが。
「もういらないわ。あんな有象無象共」
アウラは吐き捨てる。
すると、ビーストに拘束されかけた響は、すぐさま飛び退き、アウラを守るために蝶たちを蹴散らす。
「う……ッ!」
響の体力事情を完全に無視した動きに、響自身が悲鳴を上げた。
倒れ込みそうになった響を、アウラの魔法が操り人形のように無理矢理立たせている。
「このランサー一体で充分じゃない」
冷たいアウラの言葉とともに、響の体が震えるように動く。
瞬時にパピヨンの上に回り込んだ響は、彼の頭を背後から掴む。
「何っ!?」
「わわッ! ごめんなさいッ!」
普段の響ならば決して行わないであろう行動。
そのまま響の体は、地上のフロストノヴァへパピヨンを叩き付けようとする。
「……!」
フロストノヴァはアウラを一瞬睨み、両手を翳す。
冷たく硬い氷が、パピヨンと響を狙う。
だが。
「やりなさい。ランサー」
「響!」
ビーストの叫びももう届かない。
響はまるでボールのようにパピヨンを投げる。
フロストノヴァの氷の壁を砕きながら、彼の肉体はアウラのすぐ隣に叩き付けられる。
「がはッ!」
「あら。丁度いい追加じゃない」
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