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私 あの人のこと 好きなのかも やっぱり好きなんだよ 昔からー
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「じゃぁね 大地の話 あの子 あの時から何にかに憑りつかれたようになって 急に村のお祭りで横笛を吹けて 上手なのよ それで、こっちに越してきて フルート始めたの 先生に言わすと天才的なんだって だから、来年 東京の音楽大学を勧められてるわ だけど、あの樹の上で吹くのも 糸姫様が聞きたいって言うらしいのよー だからー」

「あっ そーなんだ さっき なんかが樹に居るって思った 音色も聞こえていたしー 素敵でした」

「そう でしょ? だけど、あの時間は憑りつかれてるみたい それにね 今でも 時々 私と 一緒にお風呂に入っているの 私の背中を洗ってくれるのよ 翠の背中は糸姫様みたいにきれいだってー 私は 弟だから 別に 構わないんだけどね おかしいでしょ? この年になってもー だけど あの時から 大地は私のことを翠って呼び捨てなのよ それまでは 姉ちゃんって呼んでいたのに・・・だから、大地が憑りつかれてるなって思ったら さっきみたいに 手を叩いて 翠ヨって叫ぶの そーしたら 我に帰るみたいなのよ」

「あぁー そーだったんですか なるほどー」

「でもね あの子が特異的なお陰で 私 高校に入ってからピアノ始めたんだけど あの子の音感に教えられてね 時々 一緒に演奏するのだけど、普段より上手に弾けるようになるのよ バイオリンもそうなの 不思議でしょ?」

「あっ さっきの音色 素敵でした」

「そうだ ふたりの演奏 聞いてよねー」と、先輩は2階に声を掛けていた。

「なんだよー 昼寝しようと思ってたのにー」と、今度はワインレッドのスウェットの短パン、半袖で降りてきて

「僕のフルート 聞くんだったら 糸姫も裸で抱き締めてくれるんかー」

「大地! 何言い出すのよー この子は真織ちゃんなんだからー まだ 覚めきって無いの?」

「ふふっ 冗談だよー どんな反応するかなってー でも 糸姫様 生き写しだなぁー」

 私は、どうしていいのかわからずに、足元に座っているゴウを撫でていたのだけど、胸の中はざわざわしていたのだ。そして、リビングの少し奥まったところに置かれているビアノとフルートでの演奏が始まると、音が優しく響いてきて、こころもやすらいできて、眼を閉じていると、林の中を歩いている私が居て、青く澄み切った池が見えてきていたのだ。隣には顔がわからないが、確かに男の人が居る、池に向かっているのだ。身体がふぁふぁとして浮いているような不思議な感覚だった。そして、演奏が終わった時、私は思わずつぶやいていた。 「伊良夫」と・・。

「糸姫様 今 なんて? いらぶ?」と、大地君が顔を寄せて私を覗き込んできていた。

「わからない! なんか 別の世界にいるようなー・・・」

「大ちゃん もう よしなさい 真織ちゃん ショ
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