第三章
[8]前話
「けれどね」
「それでもか」
「同性愛が罪になるという考えは」
それはというと。
「反対よ」
「あっちではそうだったんだな」
「キリスト教と科の世界ではね」
「それであの人も捕まったな」
「そうした考えには反対で」
それでというのだ。
「これからもね」
「そうした作品読んでいくんだな」
「そうするわ」
やはり読みつつ言った。
「これからもね」
「そうか、文学少女で知的な生徒会長だけれどな」
「読む本は色々よ」
ジャンルは定まっていないというのだ。
「そんなのはその人次第よ」
「勝手にイメージして決め付けないことか」
「そこまでは言わないけれど好きなジャンルの本読んでいくわ、そして」
莉子はこうも言った。
「源氏物語もね」
「読むのか?」
「あの作品もね」
「そういえば」
赤松はここで気付いた。
「源氏物語もな」
「耽美になるわね」
「源氏の君凄いからな」
「義母との許されぬ愛にね」
これに加えてというのだ。
「幼い頃から育てて来た美少女とね」
「結婚してな」
「あくまで母親を慕い」
実のというのだ。
「優雅でなび男子でしょ」
「耽美になるな」
「だからよ」
「源氏物語も読むんだな」
「そうするわ、あとね」
莉子はさらに言った。
「とりかえばや物語もいいわね」
「それも古典だな」
「姉と弟が入れ替わって」
そのとりかえばや物語はというのだ。
「男装の麗人に男の娘にね」
「今の話みたいだな」
「その原点よ」
まさにというのだ。
「これがね」
「そうした設定のか」
「そちらも読むから」
「純文学も実は、か」
「そうよ、耽美でね」
そちらでというのだ。
「私が大好きなものがね」
「多いんだな」
「そうよ、これからも読んでいくわ」
「好きならそうしろ」
赤松もここまで聞いて反論しなかった。
「別に犯罪でもないしな」
「それではね」
「ああ、しかし文学少女でもか」
「真面目で堅苦しい本を読んでるかっていうと」
「違うか」
「そうよ、耽美もありなのよ」
言いつつさらに読むのだった、そうして楽しんでいった。殆どの者が彼女を真面目で純粋な文学少女と思っていたが。
限られた者はわかっていた、実際の彼女が。そして彼女はそれでもよかった。ただ自分の好きなジャンルの本を読んでいた。
それでも生徒会副会長として真面目で学業も優秀で性格も悪くなかった。だから特に問題にならずそのまま大学に進学し就職して結婚して家庭も持って幸せに過ごした。生涯そうした本を読んでいたがそれで幸せだった。
副会長の読む本 完
2023・11・14
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ