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副会長の読む本
第二章
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「永井荷風ね」
「これまた教科書に出てた?」
「そんな人?」
「じゃあ昔の人ね」
「明治とかの」
「そうなの。この人も明治から昭和にかけて活躍していて」
 莉子はこの作家のことも話した。
「代表作はふらんす物語とかかしら」
「成程ね」
「莉子ちゃん凄い本読んでるわね」
「そんな文豪の本読むなんて」
「かなり凄いわ」
 クラスメイト達はこう思った、だが。
 莉子が生徒会室で仕事が一段落終わって読書に励んでいるとだ、生徒会長で同じ学年の赤松雄介癖のある赤髪で威勢のいい感じのシャープな顔で一七一位の背で均整の取れたスタイルの彼は眉を顰めさせて言った。制服の色合いは女子と同じブレザーだがズボンである。
「今度は誰だよ」
「谷崎よ」 
 莉子はその赤松に答えた。
「鍵ね」
「その作品もあれか」
「そう、かなりね」
「際どい作品だよな」
「性的にね」
「お前が読む本ってな」
 赤松はどうかという顔で話した。
「そういう作品ばかりだな」
「耽美好きなのよ」
「永井荷風もそうでな」
「海外文学でもね」
 日本のものに限らずだ。
「オスカー=ワイルドとかボードレールとか」
「そういうのばかり読んでるな」
「こうした作品がいいのよ」
 じっと本を読みつつ話した。
「だからよ」
「読むんだな」
「そうよ、好きだから」
 読む最大の理由を言い切った。
「これからも読んでいくわ」
「そうか、ぱっと見な」
 本を読む莉子をとだ、赤松は話した。
「お前かなりな」
「文学少女で」
「真面目なイメージだけれどな」
「読んでいる本は純文学よ」
 そう区分されるものだというのだ。
「事実教科書にも出てるわよ」
「谷崎もな」
「だからね」 
 それでというのだ。
「私も隠していないけれど」
「どんな本読んでるかわかった時周りはどう思うか考えてるか?」
「気にしていないわ」
 一切、そうした返事だった。
「そんなことはね」
「自分が好きだから読むんだな」
「もっと言えば耽美も文学で」
 れっきとしたそれであってというのだ。
「芸術よ、そして読んでいてね」
「面白いんだな」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「だからね」
「読んでいいか」
「周りからどうかと言われたら」 
 その鍵、片仮名と平仮名の日記がそれぞれ交差している独特な表現の作品を読みつつ言うのだった。
「面白い、そして文学芸術だってね」
「返すんだな」
「何処が悪いのってね」
 そうした本を読んでというのだ。
「オスカー=ワイルドは捕まったけれどね」
「同性愛でだったな」 
 赤松もこのことは知っていた。
「確か」
「当時のイギリスでは罪でね」
 同性愛はというのだ。
「そうなったわ」

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